小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1376 病んでいる日本社会 報道の自由度ランキングは61位

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 安倍首相の応援団である自民党若手議員の勉強会で、講師として招いた作家の百田尚樹氏とともに衆院議員が沖縄県民世論を批判、「広告を出さないように経団連に働きかけろ、2つの新聞はつぶすべきだ」などと沖縄の2紙(沖縄タイムス琉球新報)を威圧する発言を行ったことは、ここで書かなくてもだれしもが耳を疑ったに違いない。

 国会でも取り上げられ、安倍首相は本音(かばいたい?)とは別に「大変遺憾だ。非常識な発言、国民の信頼を大きく損なう発言であり、看過できない」と答えざるを得なかった。それほど、程度の低い発言だった。暴言を繰り返す百田氏の本が売れることは、日本社会が病んでいることを示しているようだ。

 ことし2月、国境なき記者団が「世界報道自由度ランキング2015」を発表、日本が順位を61位まで下げたことを報じる新聞で衝撃を受けた方は少なくなかったはずだ。私もその一人である。 日本は憲法で言論・報道の自由が保障されている。だが、国際的にはこれほど低いという位置付けなのである。

 産経記者を名誉棄損で訴追した韓国は日本より上の60位であることに疑問の声もあるようだが、いずれにしても最近の報道機関をめぐる動きを見ていると、このランク付けは仕方のないことなのかもしれない。 今回の問題では地方紙が報道機関としての役割を十分に果たしている。

 一方、幹部らが首相と夜の会食をしている全国紙やテレビの歯切れの悪さが目に付く。こうした現状に対し、知人はメールで次のように嘆いてきた。

《子供でも言わない言葉が出てくる、出てくる。ある若手議員の言葉に口が開いたままふさがりません。言論の自由まで操るつもり?国も操るつもりでしょうか?何様のつもりでしょうか。 憲法言論の自由があることすらあの議員は知らないのでは。第二次世界大戦時と勘違いしている言動としか思えません。

 私でさえ「もっと勉強してこい!」と思わず言いたくなります。私のほうがまだ、ましな考えだと思ってしまうのです。 数の論理で押し切ろうと思う気持ちがどこかにあるから、あんな言葉が出るのでしょう。国民は馬鹿ではないですから、今のやり方を続けていると、●●民主党大敗の前のシナリオを繰り返しますよ。今の状態では首相の言葉も、その場しのぎにしか聞こえないのは何故でしょう?主体性を全く感じません。口の上手なセールスマンにしか見えないのは私だけではないでしょう》

 かつて11位(2010年)まで上がった報道の自由度ランキング。それが61位になっているのだから、日本社会の閉塞感は進んでいるのだろう。71歳の高齢者の新幹線での焼身自殺は、病んだ現代日本を象徴する出来事だと思う。 写真は沖縄に多いディゴの花