小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

912 太陽の戯れに出会った友人 元荒川の幻日現象

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「幻日」(げんじつ)という現象があることは知っていた。しかし、それを自分の目で見たことはない。埼玉に住む友人がこの現象を見て、カメラに収めた。友人自身も興奮したという幻日。東日本大震災という歴史的大災害とともに、2011年の象徴的出来事として彼の心に深く刻まれたに違いない。

 元日の朝、犬と散歩をしていて太陽の上に東から南に伸びる茜色の細い雲を見た。それをカメラで撮影し「奇跡のような初日の出 輝く飛行機雲に幸あれと祈る」というブログをアップした。ブログには「太平洋から羽田に向かう旅客機によって発生したと思われる」と書いた。しかし、いま考えるとあの雲がはたして飛行機雲だったのだろうかと思う。

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 私が撮影した場所よりも40キロくらい離れたところでも、同じような雲を目撃した人がいたのである。飛行機雲がそんなに広範囲に見えるのかどうか分からない。あるいは、今年の大災害を告げる警告の意味を持つ自然現象だったのかもしれない。

 友人が見たのは太陽柱と3つの幻日で、ことし10月19日午後5時すぎ、埼玉県越谷市相模町の元荒川(利根川水系)に架かる不動橋で撮影したのだという。友人が歩いていると、スルスルッと光が伸びてあっという間に天に届いた。中に幻の太陽が3つ見え、本当の太陽は建築中のビルの左脇あたりの雲の中にあった。

 太陽柱は4、5分で消えたが、友人はいつも持ち歩いている全自動カメラのシャッターを何度も押し、珍しい現象を記録することができたのだそうだ。 幻日を辞書で調べると「太陽の両側にあらわれる光輝の強い点。空中に浮かぶ氷晶による光の屈折でおこる暈(かさ)の一種。白色または薄い色彩を帯びる」(広辞苑)―とある。幻日は地震の前兆だという説もあるが、真偽は不明である。

 それよりも私は太陽が戯れに化身を見せ、人間をからかっているのではないかと思ったりする。 ところで、カメラを趣味にしている人が少なくない。景勝地でプロが使う高性能の一眼レフカメラを構える年配の女性もよく見かけるようになった。日本人ほどカメラ好きの民族は世界にないのではないかと思う。 日本の報道機関が初めてオリンピック(バルセロナ)で使ったデジカメはたしか1機で1000万円は超えたのではないか。現在は性能も格段によくなり、価格も安くなった。

 全自動カメラは小型化も進んでいるので持ち運びも簡単だ。ハイビジョンの動画も撮影できる。カメラを持った街歩きは楽しいし、時には特ダネ的写真を撮影するチャンスがあるかもしれない。 友人から送られた写真を見ながら、私の想像力は果てしなく広がっていく。