小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

598 ビッグひな祭りを訪ねて 春近い東の勝浦へ

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 いま、東と西の「勝浦」で、「ビッグひな祭り」というイベントが続いている。街の主要な場所に文字通り、ひな人形が展示され、多くの観光客でにぎわっている。(写真は、遠見岬神社の石段に並べられたひな人形) 東は千葉県勝浦市、西は徳島県勝浦町だ。和歌山県那智勝浦町もあり、3つの市町は全国勝浦ネットワークを結んで交流している。西の勝浦で始まったビッグひな祭りが東の勝浦にも伝わり、いまでは「春を告げる催し」として人気が集まっているという。

 過日、東の勝浦に出かけ、初めて多くのひな人形と出会った。それは壮観だった。 西の方はことしで22回目というから、平成になって始まった催しだ。一方、東の方は、西からひな人形を譲り受け、平成13年(2000年)から開催しているので、ことしはちょうど10回目になる。東の勝浦から以外にも、その後全国各地からひな人形が届けられ、ことしはその数が3万体以上になったという。

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           (旧行川小学校に並んだひな人形)

 これから出かける人のために、見所を2カ所挙げる。1カ所は、かつて行川(なめかわ)アイランドのあった行川地区にある旧行川小学校(09年3月に廃校)の行川会場だ。木造2階建ての旧校舎の1階と2階の教室におびただしいひな人形が並んでいる。川崎市の榎本キク子さんが生前に集めた日本と世界人形のコレクション「榎本コレクション」もその中にある。行ったことがあるラオスニュージーランドの人形も展示されていた。日本最大といわれる「享保ひな」も目をひいた。                        

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                (享保ひな)

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               (ラオスの人形)

 もう1カ所は、勝浦朝市の一角にある遠見岬神社の石段に並べられたひな人形だ。石段は60段、ここに1200対が並んでいるのだから、それは見事なものだ。写真を撮ろうとする人でにぎわっている。西の勝浦も、同じように多くの人出があるのだろうか。                   

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           (魚屋さんの店前にも1対の人形が)

 ひな祭りは、中国から伝わったという。日本の風俗も取り入れ「女の子の健やかな成長と幸せをおひな様に託す」行事として、多くの家にはひな人形があるはずだ。わが家にも対のひな人形があり、毎年2月下旬から3月3日まで飾っている。                   

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           (民家の階段にも多くの人形が並ぶ)

 私自身は5人きょうだいの末っ子だった。上3人が女で下の2人が兄と私という構成だ。上の3人が嫁いだ後も、母はひな祭りには仕舞っておいたひな人形を取り出して飾った。中にはネズミに食われて、顔の一部が欠けている人形もあった。カビのにおいもする。もう数十年前のことになってしまったが、東の勝浦で多くの人形を見ながら、昔を思い出した。