小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1185 シリウスとの対話 遥かなるhanaからのメッセージ

 

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 わが家の飼い犬のhana(ゴールデンレトリーバー・雌、11歳)が、私たち家族に別れを告げてから、きょうで5カ月になった。友人から「hanaちゃんは、シリウスへ旅立ったのです」という便りをもらい、そのシリウスが見える日を待っていた。

 厳寒の季節になって、ようやく全天で一番明るい恒星(太陽のように、自分で光を出す星)といわれる星が姿を現した。 日が暮れてから防寒服に身を包み、帽子をかぶり、顔にはマスクをかけ、さらに手袋をして星空が見える空地まで行った。

 飛行機が西から東へと飛んでいく。その後方にひときわ明るい星が輝いているのが見える。シリウスだ。その右上方にオリオンの三つ星がある。シリウスは地球から8・7光年(1光年は9兆4600億キロ、太陽と地球の距離は1億5千万キロ)離れた、とても遠い星だ。

 日本でも昔から大星や青星と呼ばれ、冬の星座の中でも目立つ星として知られている。ヨーロッパではドッグスター、中国では天狼星という呼び方があるそうだ。「おおいぬ座」の中心にあるのがこの星であり、私は友人が言う通りhanaの魂はシリウスに帰ったのだと信じている。

 hanaの遊び相手(やや乱暴なので、hanaには迷惑だったのかもしれないが)で、来月で3歳になる孫娘は、最近電話をかけてくるようになった。その中で必ず「hanaはどうしているの」と聞く。きょうもそうだった。彼女にはhanaが死んだことがまだ理解できないようだ。

「空に昇って星になったんだよ」と説明すると、「そうか。だから写真しかないのね」という答えが戻ってきた。この子にも、近いうちに夜空に輝くシリウスを見せ、hanaはあそこにいるよと話してやろうと思う。

 2013年もあと1日になった。ことしの出来事を振り返ると、hanaとの別れが最大の悲しみであり、私の日記に一番登場するのもhanaだった。居間には上機嫌な顔をしたhanaの写真があり、いまでも私たち家族の心に占める存在は大きい。

 シリウスが見えるようになって、新しい年が間もなくやってくる。hanaと暮らした年月は次第に遠くなっていく。しかしhanaは私たちには忘れることができないかけがいのない存在であり続けるはずだ。

 午後9時、もう一度外へ出て、夜空を見上げた。夜が更けるにつれ、シリウスの位置は東から南に移動し、いまは中天に差しかかっている。冬の空には星たちが競い合うようにきらめいている。その中でひときわまばゆく輝くのがシリウスだ。その輝きは「私がみんなを見守っているよ」というhanaからのメッセージのように思えた。

 ことしの「小径を行く」は今回が最終回です。読者のみなさん、ありがとうございました。良い年をお迎えください。

 シリウスを話し相手に遊歩道

 写真 1、2、夜空に輝くシリウス 3、hanaの散歩コースの調整池の風景

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「ana物語 あるゴールデンレトリーバー11年の生涯(3) シリウスへの旅立ち」