小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

07 曲学阿世 ある政治家・学者

  竹中総務相が新しい内閣の発足で「大臣をやめるのと同時に参院議員も辞職する」ことを表明したニュースを見て、史記の中にある「曲学阿世」という言葉を連想した。

 「曲学(真理をまげた不正の学問)をもって権力者や世俗におもねり人気を得ようとする」という意味だ。南原繁東大総長が1949年に全面講和を唱え、当時の吉田茂首相から「国際問題を知らぬ曲学阿世の徒」と罵倒されたことは有名だ。

  慶大教授だった竹中氏は小泉首相に重用され、日本の経済政策の舵取り役を果たした。そして、04年7月の参院選比例区から立候補し当選、学者から政治家への転身を遂げた。

  しかし、小泉首相の退陣とともに、竹中氏自身も議員を辞職するのだという。この変わり身の早さは何なのだろう。小泉首相と一心同体だったということなのだろうが、竹中氏の行動を見ていると、冒頭の言葉が頭から離れない。

 辞職表明は、選挙で彼に投票した多くの有権者をこけにしたことになる。自民党は来年夏の参院選プロ野球の新庄選手や女優の藤原紀香を候補者として考えているという。人気取りのための苦肉の策なのだろう。