小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1336 開帳された大日如来坐像を見る 千葉県睦沢町・妙楽寺にて

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木造の重要文化財大日如来坐像の御開帳があるというので、千葉県睦沢町天台宗妙楽寺に行ってみた。JR上総一宮から車で約20分内陸に入った山の中だが、境内には年1回の御開帳を見ようとする参拝者が詰めかけていた。 あと1カ月で東日本大震災からまる4年。世界では「イスラム国」という過激派による血なまぐさい殺戮が続いており、人々は家族の健康や世界が平穏であるよう大日如来坐像に祈ったのだろう。 妙楽寺天台宗を東国に広めた円仁(慈覚大師)が嘉祥年間(848年~50年)に創建したと伝えられ、本尊の大日如来坐像は高さ279センチでカヤが材料として使われている。千葉県内の古彫刻の坐像としては最大で、東日本でも有数の大きさだという。作者は不明だが、全体にふくよかに見えるほか腕は太く胸も厚くて重量感があり、平安時代後期の作とみられている。 大日如来坐像には「脇侍」として木造の不動明王立像などもあり、これらは他所から移されたものといわれている。大日如来像でよく知られているのは奈良市円成寺の国宝で、東大寺金剛力士像で知られる運慶が安元2年(1176年)に制作したとされ、運慶作品では最古という。妙法寺大日如来坐像は運慶作よりやや遅い時代のものかもしれない。 毎年2月の第一日曜日に本尊の御開帳をしており、遠方から訪れる人も少なくないようだ。周辺の道路には千葉県以外のナンバーをつけた車も少なくなかった。御本尊の御開帳は何十年に1回やこの寺のように年1回とまちまちだが、人をひきつけるようだ。 もともと釈迦によって仏教が誕生してからしばらくは、仏像を拝む(偶像崇拝)という考えはなかったといわれる。その後、祇園布施という仏伝図浮彫が仏像の期限となり、仏教の信仰対象である仏の姿を表現したさまざまな仏像が生まれるのだが、その歴史は多様である。
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