小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1985「不正のない国で暮らしたい」ミャンマー・デモ参加の女性に学ぶ

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「自由で幸福で不正のない国で暮らしたい」。だれでもがこの言葉に異存はないはずだ。わが日本。自由はまあまあある。幸福はどうだろう。健康で文化的で普通の暮らしができ、家族や友人に恵まれていれば、まあ幸福か。自分が幸福かどうかは、人によって受け止め方が違うが、今の日本、自分は幸福と思う割合はそう多くはないのではないか。では、不正のない国はどうか。間違いなく、日本は罰点だ。

  冒頭の言葉は、ミャンマーの軍事クーデター1カ月を伝えるNHKニュースで、デモに参加したミャンマーの30代の国家公務員(女性)が語ったものだ。女性はこの後「力の限り、デモを続ける」と話した。この女性は電力エネルギー省(日本でいえば経済産業省か)に勤務しているが、軍の弾圧を受け入れられない、軍事政権下で暮らす方が恐ろしいと、自分の生活を犠牲にして2月8日から省への出勤を拒否し、デモに参加したという。 

  女性は「このまま解雇されるかもしれない、給料ももらえないかもしれない」という不安を抱えながら、国民に銃を向ける軍事政権に対し、反対の立場を貫いている。この女性を見たらだれもが人間の強さを感じ、ミャンマー国民に声援を送るに違いない。  

 ミャンマーのチョーモートゥン国連大使は、国連本部の演説で「軍事クーデターを即座に終わらせ、無辜(むこ)の人々への抑圧をやめさせ、国家権力を人民に戻し、民主主義を修復するため国際社会が可能な限り、強い行動を取ってくれることを必要としている」と訴えた。これに対しクーデターを起こしたミャンマー国軍は、大使を解任したという。国に帰れば処刑されることを覚悟しての勇気ある発言であり、国際社会はこの大使を守るべきだ。  

  これに比べ、日本の公務員は何をしているのかと思う。多くの官僚が権力者に忖度し続けている。権力者に理不尽に牛耳られ、恥ずかしくないのだろうか。首相の長男らに1回で7万4000円という豪華な食事接待を受けた山田真貴子内閣広報官が体調不良で入院し、辞職した。接待を受けたのは総務省時代のことで、総務省の幹部はほとんどが首相の長男が勤務する東北新社の接待を受けた。長男が参加するから断ることはできなかったのではないかといわれている。  

  それにしても恥ずべきだ。彼ら、彼女らは国民よりも首相の方を向いて行動していたと言わざるを得ない。山田氏よりもかなり若いミャンマーの公務員の方が国民を向いていると思うのは、私だけではないだろう。「不正のない国はどうか。間違いなく、日本は罰点だ」。その理由は、だれもが知っている。

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 写真1、夜明けの空を見て、遠いミャンマーを思う。2、調整池は春が近い。