小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1818 地球温暖化に背を向ける大人への警鐘 グレタさんの訴え

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 16歳の少女の訴えを全世界の大人はどう受け止めたのだろうか。23日にニューヨークの国連本部で開かれた気候行動サミット。一番注目を集めたのは16歳の少女、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんの大人への怒りを込めたスピーチだった。地球温暖化に背を向ける政治家・大人が数多く存在する中で、グレタさんの訴えが空振りにならないことを願うばかりである。  

 グレタさんはスピーチで「生態系は崩壊しつつあります。私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです」「若者たちはあなた方の裏切りに気付き始めています。未来の世代の目は、あなた方に向けられています。もしあなた方が私たちを裏切ることを選ぶなら、私は言います、あなたたちを絶対に許さないと」などと訴え、「How dare you」という言葉を4回使った。新聞記事やテレビニュースでは、文脈から「よくもそんなことが言えますね」や「よくもそんなことができますね」と、日本語に翻訳されている。いずれにしろ大人への不信感を示したものと受け止めなければならない。  

 国連本部のスピーチといえば、イスラム過激派タリバンによって頭を銃撃され、奇跡的に命を取りとめたパキスタン(イギリス在住)のマララ・ユスフザイさんのことを思い出す。同じ16歳だったマララさんは、2013年7月12日、国連本部でスピーチし「学校に行けない子どもたちのために1冊の本と1本のペンを」と訴えた。この後、2014年に17歳でノーベル平和賞を受賞、世界的に影響力を持った少女となった。

 今回のグレタさんのスピーチもマララさんと同様、世界中に発信され、大きなニュースになった。地球温暖化への次世代からの警告を、私たちは真剣に受け止める必要があるだろう。ネット上ではスピーチに対し「大人にそそのかされている」など、悪意を持った反応も少なくない。こうした批判を見越したかのように、グレタさんの言葉は厳しい。こんな大人よりよほどしっかりしていることは間違いない。「私が伝えたいことは、私たちはあなた方を見ているということです。そもそも、すべてが間違っているのです。よくそんなことが言えますね」  

 今、地球の自然環境は間違いなく「荒々しさ」を増している。先日の台風15号の直撃で、そう感じたのは私だけではないだろう。グレタさんの「あなた方が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり」という訴えに率直に耳を傾け、何ができるかを考えたいと思う。  

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