小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1819 おいおい! 関西電力よ  理不尽・不正義まかり通る時代

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「おいおい、どうなっているの?」と言いたいほどの、驚いたニュース。関西電力会長、社長ら20人に原発立地の福井県高浜町の元助役から3億2000万円分の金品が渡されていた。逆の場合ならありそうなことだが、こうした資金還流もあるのだからびっくりだ。金沢国税局の税務調査で明らかになった前代未聞の原発マネーの還流。関西の人々はどう受け止めるのだろう。  

 今のところこの資金の流れは、原発関連の建設会社などの顧問を務めていた元助役(ことし3月に90歳で死去)が、関電の原発関係部門幹部を中心にばらまいていたことが判明している。建設会社には関電から巨額の工事資金が流れているはずだから、まさしく原発マネーの還流といっていい。記者会見する岩根茂樹という社長の表情を見ていたら、何度も何度も目をぱちくりさせている。後ろめたさがありありだ。「返却が困難な状況があった」と説明したが、相手が亡くなっているから、言いつくろうことはできる。だが、それを信じる人は少ないだろう。堕ちて、堕ちた。賄賂にまみれ、腐臭が漂う電力会社はどこへ行くのか。  

 金沢国税局の税務調査に対し修正申告をしたのは昨年らしいから、関電の関係者はまさか、今になって漏れるとは思っていなかったかもしれない。しかし、「天網恢恢疎にして漏らさず」(「老子」73章。天の張る網は広い。粗いように見えるが、悪人を網の目から漏らすことはなく、悪事を行えば天罰を被る)である。それを関電の幹部たちは、思い知ったはずである。  

 経団連会長を務める日立製作所の中西宏明会長は、この日の定例記者会見で、関電の不祥事に対し「彼らはお友だちだから何も言えない」とコメントしたという。愚かなり財界トップの世迷言というのが正直な感想だ。  

 このところ人間の愚かさを示すニュースが相次いでいる。いやはや、である。新聞を読むことが嫌になる朝が多い。今朝もそうだった。関電、トランプ、NHK、文化庁……。ここで書くまでもないが、トランプはウクライナに対する圧力疑惑、NHKは日本郵政番組に対する郵政抗議に経営委が介入したこと、文化庁は愛知の芸術祭が被害者なのに補助金を出さないという。  

 理不尽と不正義がまかり通る時代なのだろうか。近所コースのあちこちに彼岸花が咲いている。例年より遅い開花だ。台風のあとに忽然と芽が出て茎が伸び、夕方花が開いた。それは燃えるような赤い花だった。天に咲く花ともいわれる曼珠沙華は、これらのおかしな出来事を黙して見つめているに違いない。