小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

753 ああ!勘違い 飛行機チケットをめぐる家族の失敗

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 家族がタイ旅行から帰ってきた。ブログの面白いネタを提供するという。以前にも海外でクレジットカードが入った財布をすられたことがあるので、また「失敗したな」と思ったら、その通りだった。しかも出発の羽田でトラブルがあったというのである。

 それは案外よくありそうな勘違いによる失敗だった。(写真はバンコク空港の夜明け) 家族は今回の旅行で飛行機のチケットやホテルの予約をインターネットで済ませた。それはそれで便利である。だが、落とし穴が待っていたのだ。

 家族はバンコク経由でチェンマイに行く予定で、18日の夜、羽田に向かった。飛行機はタイ航空の午前零時20分発の便だ。ところが、羽田のカウンターに行くと「あなたの予約は前日の分です」と言われたのだ。

 午前零時20分という時間に家族は18日の夜の延長という意識があり、予約をする際、18日と勘違いして「18日午前零時20分」発の便を申し込んでしまった。正しくは19日午前零時20分発を申し込むべきだったのだ。途方にくれる家族に対し、航空会社は空席があるので1人3万円を出してくれれば、19日の便に乗ることができると言ってきたという。

 家族が仕方ないと覚悟していると、係員はちょっと待ってくださいと言って、かなりの時間をかけてほかの人たちと相談をしている。結果的には1人1万円(2人)を出して乗ることができた。早朝、バンコクに到着してチェンマイ行きのタイ国内便に乗り換えた。このチケット予約は「19日」となっていたので問題がないはずだが、羽田でつまずいた家族は乗れなかったらどうしようかと不安だったという。

 羽田でタイ航空の人たちは「よくあるんだよね」と家族に聞こえるように話していたという。たしかに気をつけないといけない勘違いだ。ましてやインターネット予約は、それがミスであっても指摘はしてくれないから注意が必要だ。旅行代理店の窓口でチケットを購入していたら、注意をしてくれたかもしれない。

 私自身、新幹線の指定席で別の車両の指定席と勘違いをして同じ番号の席に座ってしまい、後からやってきた人に注意されたり、飛行機で座席番号が一つずれた席に座って恥を書いたりしたこともある。だから家族の勘違いに偉そうなことは言えないが、インターネット予約は慎重にということだけは教訓になるはずだ。

 池澤夏樹の短編集「きみのためのバラ」の中に「都会生活」という作品がある。飛行機の予約時間を間違え、出張の帰りに予約した便に乗り遅れた男の話だ。勘違いによって生じた時間に何があったのかを池澤らしいひねりの効いたストーリーにしている。旅慣れた池澤がこうした作品を書くのだから、航空会社が言うように勘違い予約は多いのではないか。