小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

614 毎日がエイプリルフール 賢治の詩を思いながら

 宮沢賢治の有名な詩「雨にも負けず」の中に「日照りの時は涙を流し寒さの夏はおろおろ歩き」というくだりがある。昨今のニュースを見ていると、おろおろする(途方に暮れる)話が目に付く。賢治が生きていたら、現代をどう表現するのだろうかと思う。

  きょうは4月3日だが、4月1日のエイプリルフールが最近は毎日起きているのではないかと思ってしまう。順を追ってエイプリルフールのようだと思ったニュースを書いてみる。

  まずは鹿児島県阿久根市竹原信一市長のことだ。元係長を一方的に懲戒免職にしたうえ裁判所の判決に従わず給与の支払いを拒み、報道陣がいるので議会には出席しないなど、豊富な話題を提供し続けている。その言動は、ユニークという表現を超えている。これで、市の運営はできるのだろうかと心配になる。

 國松孝次警察庁長官狙撃事件の時効のニュースにもおろおろした。地下鉄サリン事件や松本サリン事件、坂本弁護士一家殺害事件などオウムは凄惨な事件を連続して起こした。そして公安部は長官狙撃事件もオウムの犯行として捜査した。しかし、だれも起訴できなかった

  にもかかわらず、時効を迎えた際の会見で警視庁の公安部長は「オウムの犯行」と強調した。「結果は駄目だったが、こんなに一生懸命やった」と言わんばかりの言い訳会見で、警察の捜査力が落ちていることを露呈させてしまったのである。

  これよりエイプリルフールらしいと思うのは、自民党若林正俊元農相(75)が隣の投票ボタンを代わりに押した話だ。新聞の報道によれば、2日午前、参院本会議採決で議場にいなかった青木幹雄参院議員会長の代わりに隣の席の若林氏が投票 ボタンを10回も押したというのだ。この問題の責任を取り若林氏は辞職したが、その言い草が振っている。

 「魔がさした」と言うのである。この言葉は万引き犯がよく使うが、国権の最高機関である参議院の議員がこんなインチキをするとは、自民党も堕ちたものだ。これこそまさに「貧すれば鈍する」である。

 「政権交代」を旗印に目的を達成した民主党も、エイプリルフール的政権運営の連続だ。数に頼ってのばらまき政策(子ども手当や高校の授業料無償化)はやったが、それ以外は迷走続きで、マニフェストはどうやら絵に描いた餅のようだ。これでは国民のおろおろ状態は解消されそうにない。