小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

496 東京湾大華火祭 火の芸術を楽しむ

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 前回のブログで、各地で花火大会の中止が相次いでいると書いた。そんな中で、東京の中央区で開かれた「東京湾大華火祭」を見物した。知人が会場の目の前にあるマンションに住んでいて、「ぜひに」と招待された。

 一見の価値があると思い、途中の混雑を覚悟して、都心に向かった。最寄りの地下鉄大江戸線勝どき駅は、ひどい混雑だった。 何しろ、地下鉄は前の駅から一時ストップし、勝どき駅の混雑防止のために時間調整をするという案内を繰り返した。電車を降りて、地上に出るまで10分以上を要した。

 ようやく知人のマンションに到着する。マンション発行の大会用出入りカードを示してマンションに。エレベーターに乗るのにも列があった。 知人の部屋は50階。既に多くの先客がいる。大半が女性だ。ビールと食事をごちそうになり、待っていると、いきなりドーンという音が耳に飛び込んだ。花火大会の始まりだ。

 ベランダに行く。眼下には、東京湾隅田川をはじめ東京の街が広がる。大勢の見物客が公園にいるし、近くのビルの屋上にもいる。打ち上げる花火の数が1万2000発という大規模な大会。隅田川大会の1万5000発にはかなわないが、全国有数の大会なのだろう。 旧来の模様の花火に混じり、笑顔をデザインしたものなど、花火師の苦心作とも思える新作(?)も多い。

 ほとんど休みなしに続く花火。私たちは上から見るので、首は疲れないが、地上から見た人たちは、ずうっと空を見上げ続け、疲れたに違いない。 午後7時から8時20分までの80分間。それはこれまで味わったことがない夢のような時間だった。ヘンデルの曲に「水上の音楽」があるが、このさわやかな曲を頭の中で思い浮かべながら、火の芸術を楽しんだ。 帰りの地下鉄はさらに混雑がひどく、友人とともに一駅歩いて次の駅である月島から電車に乗り、家路についた。

 もう1人の友人は夏風邪で急に寝込んでしまい、来ることができなかった。熱を押して出てきたら、地下鉄の中で倒れたかもしれないと思うほどの混雑ぶりだった。 夏の風物詩を観賞した夜に、タレントとして人気の酒井法子覚せい剤で逮捕されたというニュースがあった。世の中に対する無知、自分を大事にする精神の欠如なのだろうか。大事な人生を棒に振りかねない罪を犯したことを彼女は認識できているのかと思う。

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