小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

479 とんがり靴とモヒカン頭 現代の流行事情

  若い男性の間で髪の毛の中央部を立てる「モヒカン刈り」が依然として流行している。そんな男性の足元を見ると、ほとんどがとんがった靴を履いている。これが現代の若さの象徴のようで、最近は足元を見ると、ほぼ年代層が分かるようになった。

  頭の方のモヒカン刈りは、80年代からあったようだが、いまはさりげないスタイルに進化している。一方のとんがり靴は、ものの本によると、14、15世紀の英国で王侯貴族などの間で流行ったらしい。

  さらに時代を経て50、60年代に再流行、80年代に不死鳥のようにまた流行したという。それがなぜ日本の若者が飛びついたのか。

  靴は、実用を考えればつま先は丸い方がいいはずだ。全体的には足の形にするのが理想だが、そうするとデザイナーの存在価値はない。そこで、デザイナーたちはいろいろと知恵を絞る。しかし、奇をてらったデザインは受け入れないので、とんがりか、普通かまるかを選ぶのだろう。

  こんなことを書くと「失礼な」と怒られるかもしれない。しかし、靴のデザインでそう幅広い選択視はないはずなので、歴史の繰り返しになってしまうのではないか。その結果がとんがり靴なのである。とんがった部分は空洞なので、エコを求める時代風潮には逆行しているともいえる。

  駅の階段を上るとんがり靴族はつま先を傷つけないよう慎重だが、若さゆえ、さっさと上っていく。アンケートによれば格好のよさだけでなく、こうした先の長い靴を履くことによって足が長く見られ、ひいては身長も大きく見えると思い込んでいる人が大半のようだ。

  流行を追うのは、若者の特権であり「外見」を気にするのは、社会人としては当たり前のことだ。だが、外見を気にするあまり、感性や教養といった人間性を高めることを忘れてはならないと思うが、余計なお世話か。