小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1940 全国「住めば都」だよ 福島のランク付けは冷酷

IMG_1373.jpg

都道府県魅力度ランキング」という調査結果が話題になっている。調査の方法に疑問の声も少なくない。その地域の魅力は、実際に住み、生活をしてみないと分からない。私は、現在住んでいる千葉県(千葉市)を含めこれまで8都道県で暮らした。この地域はそれぞれに魅力と欠点があり、甲乙つけがたい印象を持っている。では、この地域での生活について感想は、「住めば都」なのだ。  

 住んだ地域を北から順に書くと、北海道、秋田、宮城、福島、埼玉、千葉、東京、神奈川になる。北海道は魅力度ランキングでは1位だそうだが、冬の暮らしが厳しいし、札幌への一極集中と過疎化現象が進んでいるのが欠点か。

 秋田県は北海道より過疎化現象がひどい。秋田など、日本海側の地域は太平洋側の地域に比べると冬の日照時間が少ない。どんよりとした空が続くと気分もさえず、憂鬱な日々となる。それでも「四季の変化が一番はっきりしている」と県民が自慢するだけあって、四季折々の自然の美しさは格別であり、人情も細やかだ。秋田から仙台に移り住んで、冬の日中の明るさの違いに驚いた。秋田に比べ太陽が顔をのぞかせる日が多いのだ。仙台は緑に包まれた印象が強く、またいつか住みたいと思い続けた街といえる。  

 首都圏。便利で、何でもそろっている。とはいえ、自然がすぐそこにある北海道、東北にはかなわない。他人のことには無関心(装っている)な人々が暮らしている。千葉県は、「へそのない県」だ。千葉市政令都市で、県庁がある。だが、県の中心としての存在感が薄い。千葉市中央区の県庁周辺はうら寂しく、幕張メッセプロ野球ロッテの本拠地、マリンスタジアムがある幕張新都心千葉市美浜区)の方がにぎわっている。松戸や柏、我孫子といった常磐線沿線の街に住む人たちは、東京とのつながりが濃く、県庁のある千葉市に足を運ぶことは少ない。県庁を見たことがないという人も珍しくない。東京都松戸市柏市我孫子市といってもいいくらい、住民の目は東京を向いている。

 神奈川(横浜)はあか抜けた装いと泥臭さが同居し、埼玉は「ダサイタマ」といわせないほど発展が続き、県民は東京を向いて生活しているように見える。  

 東京から北海道、奈良、沖縄に移り住んだ友人がいる。それには、三者三様の訳がある。寒いのが平気という友人は北海道に、寒いのは嫌という友人は沖縄に住んだ。奈良の友人は東京からタイのチェンマイに移り住み、10年暮らして帰国、今度は奈良に終の棲家を確保した。3人は生活者の目線でそれぞれの地域を見つめながら、暮らしている。

 一方、原発事故の福島。3・11から9年半。住み慣れた土地を離れ、戻れないままの人たちも少なくない。魅力度ランキングという、数字によって福島の順位をランク付けすること自体、冷酷に映る。私は福島に原発とは無縁の時代に住んだから、郷愁の思いに浸ることが多い。だが、原発事故を考えると、その思いは断ち切られてしまうのだ。  かつて全国を旅し、多くの人に話を聞いたことがある。地域に根差した人たちの姿は生き生きとしていて、魅力がいっぱいだった。北海道から沖縄まで47都道府県、私が嫌いになった地域はない。(沖縄は家族が数年住んだため数回短期滞在した)

 

 関連ブログ↓  105 私が住んだ街1・横浜市 また住みたいか?9回続きです    1651 坂の街首里にて(1) 歴史遺産とともに  1741 歳末雑感 続・坂の街首里にて(1)