小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

40 漫画家の死

 漫画家のはらたいらさん(本名・原平)が亡くなった。63歳であり、現代では短い一生だったといえるだろう。

  はらさんといえば、テレビのクイズ番組の博識ぶりが思い出にある。

  その若々しい表情のはらさんがいつかテレビから姿を消し、再び話題になったのは、男性の更年期障害を患い、やつれた姿だった。それを克服して、元気になったと思っていたら、きょうの訃報である。ご冥福を祈るばかりだ。

  漫画家といえば、はらさんとは対照的にマスコミに登場するのを嫌った長谷川町子さんを思い出す。「サザエさん」は、いまもテレビで放送されており、手塚治虫とともに、これまでの日本を代表する漫画家と位置づけて間違いないだろう。

  そのマスコミ嫌いの長谷川さんにご自宅でお会いしたことがある。色白で、髪型を含めあの漫画の「サザエさん」の印象とほぼ同じだった。

  話しぶりはゆったりしており、品があった。その話の模様はテープにあり、いもでも聞くことができる。長谷川さんは病弱だった。作品に自分の全生命をかけ、取り組んでいたからだろうか。

  長谷川さんの死を聞いたのは、単身赴任の札幌で1人遅い晩飯を食べていたときだ。お会いしてから10年近い歳月が流れていた。