小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

132 東京と札幌の差 友人の転勤で考える

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 北海道育ちの友人が仕事で初めて東京に転勤してきて4年7ヵ月、友人は札幌に戻ることになった。初めて住んだ東京は、魅力ある街だったという。 長年、東京を中心に生活している者には、どこに行っても人、人の東京はうんざりする時があるのだが、友人は「戻りたくないほど好きになりました」と語るのである。

 東京は何でもそろっている。札幌だって規模は10分の1だが、けっこう住みやすい。しかし、友人は文化やファッションでは、何でもある東京に札幌は比べようがないと思ったようだ。歌舞伎のはしごをしたというほどだから、友人の東京への別離の思いは深いようだ。 自然や人情の豊かさでは札幌に東京はかなわない。札幌は大都市とはいえ、郊外に行くと、1人でのんびり散歩できる。

 しかし繁華街(すすき野)では知り合いに会うこともあり、狭い地域社会だ。それに比較すると、東京は「他人の街」なのだ。 私は仕事の関係で何年か地方都市で生活した。濃密な人間関係があったが、自然の豊かさ、ゆったりと時間が流れる感覚に地方生活を満喫した。東京に戻ると、そのせわしさに疲れ果てることもあった。 友人が戻る札幌では3年半の生活をし「第2のふるさと」と自称している。中心部は目をつぶっても歩けるくらいよく知っている。

 では、思い切って札幌暮らしをしたらと問われたら、踏み切ることはできない。好きな街は遠くから見守り、たまに訪問するのがいいと私は信じているからだ。 6月から7月の札幌は一番過ごしやすい季節である。空気は乾き、空の色は青い。そこで暮らす友人がやはりうらやましい。(写真は、北海道の夏の花、ハマナス