小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1083 あなたはどこに住みたいか 巨大名古屋と戦う岐阜は?

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 全47全都道府県を踏破したのは3年前の2010年2月のことだった。最後になったのは鳥取県だった。この月、米子市を訪れ、全都道府県に行ったことになった。だが、県庁所在地では岐阜市三重県津市の両市はなぜか縁がなかった。今回、愛知の旅の途中、岐阜にまで足を延ばし、あとは津のみを残すだけになった。

 岐阜のうち飛騨高山や世界遺産白川郷は訪ねたことがあるが、岐阜市は行く機会がなかった。その岐阜市の表玄関である岐阜駅はJR、名鉄ともしゃれた駅舎になっていた。

 岐阜―名古屋間はJRで最速20分という近距離にあり、岐阜市は巨大商業都市・名古屋に飲み込まれそうになるのを懸命に踏みとどまろうとしているようで、それが駅ビルにも反映しているのかもしれないと思った。

 シドニーラソンの金メダリストで国民栄誉賞をもらったQちゃん・高橋尚子さんは、岐阜市の出身(2歳まで母親の生家のある高山で送り、以後岐阜市に移り住んだ)という。あの明るいキャラクターは、保守的といわれる岐阜の人々にどう受け止められているのだろう。

 これまでいろいろな街を見てきた。高校生までを福島で暮らし、その後住んだことがある街は横浜市、東京都港区、国立市千葉市さいたま市(当時は浦和市)、仙台市秋田市、札幌市と東日本に限られるが、そうした街を含めてどこが好きかと聞かれたら、札幌、仙台、福岡は上位にランクしてもいいと思う。

 一方、名古屋はいやなところだと思っていたが、何度か行っているうちにそうでもないことが分かってきた。 世界で最も住みやすい都市調査でアジア一番の大阪も、最近になって味わいのある街だと思ってきた。そのほか富山市岡山市とも道路が広く、せせこましいところがないのがいいし、横浜、神戸、長崎の独特の雰囲気も嫌いではない。 民間の「生活ガイド.com」という行政サービス比較検索サイトは、「日本で一番住みたい街ランキング」を発表している。

 2012年版ではトップ10は、1位が横浜、2位が京都、3位札幌で、以下那覇、東京都世田谷区、鎌倉、神戸、沖縄県石垣、大阪、福岡と続いている。(名古屋市は12位、仙台は22位だった)那覇と石垣という2つの街が入っている沖縄は、気候的に温暖であり、豊かな自然や人情のよさが人気の背景にあるようだ。

 一方で、今回訪れた岐阜は98位、最後に残った津は100位までにも入っていない。 坂の多い横浜は、高齢者には住みにくい街のはずだが、このランキングでは2回連続して(前回は2010年)トップになっている。人付き合いが難しいといわれる京都も上位を占めているので、街の評価はよく分からない。歴史文化と自然に恵まれたはずの岐阜だが、地味で目立たないイメージが損をしているのかもしれない。 写真 JR岐阜駅前