小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1237 悲しみのために花となる 殿堂入りバラ園にて

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「薔薇は薔薇の悲しみのために花となり青き枝葉のかげに悩める」 若山牧水 (薔薇がまるで心を持ったもののように歌っている。作者は自分の心の悲しみや悩みを、薔薇に移してうたった。山本健吉・句歌歳時記 夏・新潮社)

 前回のブログで薔薇について書いた。友人の一人は「お世話になった先輩のことを思い出した」というが、人は薔薇を見ながら何を思い、考えるのだろう。 今回は、あらためて薔薇の写真を特集としてアップしてみる。(薔薇の名前は省略します。どんな名前かイメージするのも楽しいはず)

 1-5枚目がわが家の庭の花、それ以降が佐倉市の「草ぶえの丘バラ園」で撮影した。このバラ園は、このほどアメリカ・サンマリノにある「ハンティントン図書館、美術館及び植物園」によって「殿堂入りバラ園」に選ばれた。「草ぶえの丘バラ園」がボランティアの協力で貴重品種・ヘリテージローズオールドローズ)の収集と保存に寄与し、ヘリテージローズ保存の重要性の啓発に貢献した―というのが選出の理由という。

 同園には原種やオールドローズを中心に1050種、2500株があり、一番美しい季節を迎えている。日本にはここよりも数が多いバラ園は存在するだろうが、ボランティアの全面協力で維持されているのはそうないのではないか。敷地内ではさらに薔薇の植栽が進んでおり、今後バラ園としての規模も拡大するはずだ。  

 札幌に住んでいた当時、よく通ったバラ園があった。市内を眺望できる藻岩山麓の標高93メートルという高台にあった「ちざきバラ園」である。個人庭園として造られたものが一般にも開放され、最盛時400種・4000株のバラがあり、札幌の人たちに愛された。しかし、入場者が減ったために2009年限りで閉園になった。草ぶえの丘のバラを見ながら札幌の青い空の下で咲き誇っていたバラを思い出し、やや感傷的になった。

 

 

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