1113 まとめて読書 系統なき乱読の日々
最近、読んだ本のことをあまり書いていない。そこで、まとめて最近読んだ本について記してみる。小説とノンフィクションが半々だ。以下、その題名(著者)と寸評。あくまでも私自身の感想であることをおことわりしておく。
「ノンフィクション・その他」
メルトダウン(講談社) 大鹿靖明 原発事故を起こした東京電力の当事者能力のなさ、原子力村ムラの存在が悲劇を助長させたことがよく分かる。
放射能に抗う(講談社) 奥野修司 福島でコメ生産に取り組む農業法人の苦闘。こんな力強い人たちが福島にはいる。
ジーノの家(文藝春秋) 内田洋子 長期イタリア在住の日本人女性のカルチャーショックの数々。好エッセー。塩野七生のエッセーより面白い。
アルゴ(早川書房) アントニオ・メンデス&マット・バグリオ アカデミー賞を受賞した映画の原作。テヘラン(イラン)のアメリカ大使館がイラン人暴徒に占拠された事件に絡む、あるイランからの脱出行。
旅の窓(幻冬舎) 沢木耕太郎 カメラが好きな沢木が旅の際に撮影した写真と短文を掲載。文章と写真がうまくマッチしているのはさすがだ。
子規断章(朝日出版) 日下徳一 子規を取り巻く人たち(漱石、虚子ら)は超一流だ。知人の感想。「子規が今日の徘界の興隆を目にしたらどう思うだろう。本書は弟子であり朋友であった漱石、虚子を中心に、子規を取り巻く人々を取り上げたものである。読み終えて心に温かいものが残った」 「フィクション」
歓喜の仔(幻冬舎) 天童荒太 不幸な少年が親の責任をとって覚せい剤づくりに関与する。天童作品としては中の上くらいか。
きみ去しにのち(文藝春秋) 重松清 幼い息子を亡くした父親の放浪の旅。命の愛おしさと悲しみを抱えて旅をする人がいることを実感。名著。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(文藝春秋) 村上春樹 面白いと思う半面で、反村上の人たちの辛辣な見方も分かる気がする。隔靴掻痒という言葉を思い出した。娘は酷評。
黄色い目の魚(新潮社) 佐藤多佳子 青春小説。発想が豊かであり、表現力が半端ではない。
シャーロック・ホームズの冒険(新潮社) コナン・ドイル 手品と同じく、解決後のなぞ解きが分かると、なーんだと思う。が、やはり名作。
一週間(新潮社) 井上ひさし 井上の最後の作品。シベリア抑留の話。結末があっけない。
時のみぞ知る(新潮社・上下)ジェフリー・アーチャー イギリスの作家の作品。ケン・フォレットにひけをとらないほどストーリー性が豊か。