小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1006 世界で一番住みやすい都市は? 大阪はなぜ魅力があるのか

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「世界で最も住みやすい都市」という調査結果を英国のエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)という経済分析機関が毎年発表している。2012年版では、かつて第16回オリンピック夏季大会が開かれたオーストラリアのメルボルンが世界一だそうだ。 アジアでは日本の大阪の12位が最高で、東京は18位にランクされた。そんなものかと思う。

 日本の町の美的センスは、トップ10に入った都市に比べ、格段に劣っているからだ。 この調査は安定性、医療、教育、インフラ、文化・環境の5項目を指数化して各都市を格付けしたという。100点満点でメルボルンは97・5点を獲得し、以下ウィーン(オーストリア)、バンクーバートロントカルガリー(以上カナダ)と続き、アデレードシドニー(以上オーストラリア)、ヘルシンキフィンランド)、バース(オーストラリア)、オークランドニュージーランド)までがトップ10にランクされている。

 かろうじて大阪が12位(スイスのジュネーブと同位)に入ったのは世界的観光都市・京都が近いうえに物価が安いというのが大きな要因とみられているそうだ。メルボルンは食材が安く、海外からの移住者も多く、外国人にも住みやすい街といわれているが、在住の日本人の一部からは、街づくりに美的感覚がなく、現地の人たちの労働意欲ももう一つだという声もある。

 私は大阪のことはあまり知らないが、12位にランクされただけの魅力があるのだと思う。かつて東京、千葉、横浜に住んでいたことがある友人が現在、大阪で暮らし、この街の面白さを時々ブログで紹介しているのを見て、ようやく大阪の魅力を感じるようになった。

 長居公園に集まる人たちのラジオ体操後の掛け声の話を知って、仲間に入りたいと思ったくらいだ。大阪人は、できるだけストレスのない生き方をしているのではないか。 世界で最も住みやすい都市10傑に入った街のうち、私が訪れたことがあるのは2都市しかない。ウィーン、オークランドである。前者は歴史と音楽、後者はビジネスとヨットの街という印象がある。では大阪はどのような形容が似合うのだろう。雑然としていて食もビジネスも何でもある、飾らない「庶民の街」と言っていいのかもしれない。  
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  日本には大阪以外にも住んでみたい都市は少なくない。札幌、仙台、福岡はその代表格である。東日本大震災に見舞われた東北の都市にも魅力ある街が多かった。将来、この街が世界の人々から住んでみたいと思われるよう復興することを祈るのみだ。

写真はいずれもオークランドニュージーランド