小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

985 モクレンが狂い咲き 梅雨明けは近いのか

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駅へと通じる道路の両脇にある街路樹のモクレンの花が咲いている。3月末に一度咲いた花が、梅雨空の中「もう一度顔を出しましたよ」と言いたげに空に向いている。いわゆる、狂い咲きというやつらしい。3月末に比べると花の量は少なく、白い花も紫の花も1本に数個しかない。6月に台風が上陸し、このあたりもかなりの強風に襲われた。それが背景にあるのだろうか。 インターネットで調べてみると、この花はけっこう狂い咲きがあるらしく、数年前にも発生したという話が載っている。しかし、この道路のモクレンがいまの季節に咲いたのを見た記憶は全くない。台風によって、植物の開花時期を調整するアブシジンという物質に影響があったのかもしれない。 山村暮鳥は「雲」という詩集の中でこんな詩を書いた。 ―ある時 木蓮の花がぽたりとおちた まあ なんという 明るい大きな音だつただらう さやうなら さやうなら― 狂い咲きの花は、明るく大きな音を立てて落ちるというよりは、湿った空気の中でひっそりと静かに短い花期を終える。
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自然界が人智を超えたものがあることをこの狂い咲きで感じたのだが、夕方に晴れ間がのぞくと、散歩コースの調整池周辺では赤とんぼと同じくらいの大きさのおびただしいトンボが飛び回っていた。梅雨が明けたと勘違いしたのかもしれない。
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写真1、狂い咲きの白モクレン 2、紫のモクレン 3、大きな実がついたモミ(これも初めて見た)