小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

625 首相と幹事長の疑惑 分れた検察審査会の判断

 鳩山首相資金管理団体の偽装献金事件では、首相の不起訴処分は妥当と判断した検察審査会が、民主党小沢一郎幹事長の資金管理団体陸山会」の土地購入をめぐる事件では小沢氏を「起訴相当」と議決した。

  別々の審査会(首相の方は東京第4検察審査会、小沢氏の方は東京第5検察審査会が担当)であり、当然メンバーは変わっているが、似通った政治家の政治資金をめぐる疑惑で、なぜこのような違う結論に達したのだろうか。「証拠の厚みの違い」(朝日新聞)という報道もあるが、真相は分からない。

  検察審査会の実態はあまり知られていない。最近、JR尼崎の脱線転覆事故で歴代社長を起訴相当としたことで新聞やインターネットで詳しく報じられ、その実態が少しは理解されつつある。しかし、裁判員制度に比べれば、まだまだベールに包まれているといっていい。

  無作為で抽出された11人の委員が犯罪事件に関して不服申し立てに基づいて審査に入り、検察の処分についてあらためて審議し、結論を出す。それが今回の鳩山首相小沢幹事長のケースだった。

  しかし、2つの事件で検察審査会がどのように議論したのか、詳細は不明だ。裁判員同様、一般の市民が選ばれるのだから、法律に詳しい人もいれば、その逆の人もいる。とすると、声の大きい人や粘っこい議論をする人の意見が通る可能性が強いのではないか。

  議論の内容を知りたいと思うのは、おかしいのだろうか。極論すれば庶民感情が根底にあり、それが議決につながるのではないかと思う。人間は顔で判断はできないが、庶民感覚からすると、小沢さんの方が鳩山さんよりも分が悪い。まあ、どっちもどっちだが…。

  いま政権交代を果たしたはずの民主党は悪い夢を見ているような政権運営を続け、野党第一党自民党は離党が相次ぎ、昔日の面影はない。

  古い詩を思い出している。高村光太郎の「道程」だ。

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 僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る ああ、自然よ 父よ

 僕を一人立ちにさせた広大な父よ 僕から目を離さないで守る事をせよ

 常に父の気魄を僕に充たせよ この遠い道程のため この遠い道程のため

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  日本の明日への道はどのように続くのかと思う。