小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

589 岐路に立つ2人 どうなる小沢幹事長と朝青龍

  政治と相撲は全く異なる世界だ。だが、この2つの世界に君臨する実力者が危機にひんしている。言うまでもなく、民主党小沢一郎幹事長と横綱朝青龍である。明後日の4日にも2人をめぐって、大きな動きがあるかもしれないという。どんな展開があるのだろうか。

  小沢氏は、「親分」的な肌合いの政治家だ。2世政治家の中では豪腕といわれるほど迫力がある。民主党自民党に替って政権を握ったのは、彼の力が大きかった。しかし、検察は事あれば彼を標的にしたいと、以前から虎視眈々と狙っていた。その意味で、小沢氏は常に「俎上の鯉」状態にあったのだ。

  4日にも元秘書だった石川知裕衆院議員が政治資金規正法違反で起訴される。それを踏まえたのか、小沢氏が絶対権力を握っているはずの民主党内部から「政治責任をとるべきだ」という声が公然と上がってきた。小沢氏にとっては無視できないし、検察の今後の動きも不気味だろう。

  一方、外国人として横綱になり、初場所で歴代3位の25回目の優勝をした朝青龍も、引退か除名の瀬戸際に立っている。初場所中に泥酔して一般人を殴り、鼻の骨を折るというけがをさせたことが発覚し、相撲協会も重い腰を上げざるを得なかった。警視庁も動き始め、協会自体も調査委員会をつくり、事実関係を調べているという。

  朝青竜は、モンゴルから四国の明徳義塾高校に相撲留学して学んだあと角界に入り、横綱に上りつめた。問題行動が多く、出場停止処分も受けたことがある。最近はおとなしくしているのかと思っていたら、場所中の傷害事件騒ぎだった。過去を考えれば、絶体絶命としか言いようがない。

  この2人に関して、周囲には「小沢氏は幹事長辞職、朝青龍は引退」という見方をする人もいる。2人とも今の立場が安泰とはいえまい。

  中国の作家、魯迅は「打落水狗」(水に落ちた犬は打て)という言葉を残したといわれる。それまで、強かったものが弱りだしたら、情け容赦なく徹底的に叩きのめすという中国的発想だが、2人の強者もいまそんな状況に追い込まれているようだ。