小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

576 看板下ろすあの店この店 二番底って何だ!

 「パチンコ店」「焼き肉店」「ガソリンスタンド」というと、どこにでもある現代日本を代表する業種だ。最近、近所にある3つのこれらの施設が相次いで閉鎖・閉店になった。人口が減っているわけではないが、不景気で客の入りが少なくなって営業不能に陥り、看板を下ろすことになったようだ。

  こうした状況は全国的傾向なのだろうか。昨今、景気は二番底(景気が下降して底を打ち、横ばいまたは上昇した後、再び後退して2回目の谷に至ること)の不安がささやかれている。その前触れでなければいいのだが。

  駅前のパチンコ店は店舗も大きく、その前を通ると、けっこう人が入っているように見えた。しかし、駅前にはそのほかに2つの大きなパチンコ店があり、競争は激しかったのだろう。その結果、1つがギブアップした。

  焼き肉店は、以前は秋葉原の大型電気店の支店だった。しかし、中途半端な大きさであるため、店内に並ぶ家電も限られ、オープンして5、6年で閉店となり、その後釜に焼き肉店が入った。こういう時代だから、外食する家族も少なくなり、それが郊外型の焼き肉店経営に影響したのだろうか。

  ガソリンスタンドは、途中からセルフ式になり、細々と続いていたが、12月いっぱいで閉鎖になった。半年前にはここから数百メートルのスタンドが閉鎖になっているので、ガソリンスタンド経営がかなり難しくなっていたと推測できる。車の販売不振が続いているうえ、若者の車離れやエコカー時代の到来でスタンド経営には逆風が吹いているのだ。

  駅近くにあった大型書店も閉店して数年経過したが、店舗は利用されない状態が続いている。

  パチンコに興味がない私には、駅前のパチンコ店の閉鎖は歓迎だが、二番底景気で空き店舗が増えれば、町から活気がなくなってしまう。「シャッター通り」という現実がすぐそこまで来ているのだろうか。

  学者やエコノミストは、自民党から政権を奪った民主党が中長期的な成長戦略を示すことができず、不十分な景気対策しかとらないことが原因とする「民主不況」という言葉を使って、二番底の不安の背景を説明する。バブル後の「失われた10年」を経験しながら、その痛みが政治家には分かっていないのだろうか。小沢幹事長の支配が強まる一方の民主党の姿を見ていると、その印象を強くする。

  私は「経済オンチ」である。株はもちろん、景気や経済のことにはあまり興味がない。だが、懐具合が悪くなることは困るわけで、学者やエコノミストをあまり信用しない私も、ことしは心を入れ替えて経済の勉強をしてみるかと思ったりするが、まあ無理か。