小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

491 どうなっているJRの危機管理 真夏の京葉線ストップ

 東京と蘇我を結ぶJR京葉線が30日午後から夜にかけて7時間にわたって不通になった。夏休みに京葉線を利用して舞浜にあるディズニーランドや、海浜幕張幕張メッセのイベントに行こうとして計画をやめ、あるいは途中で足止めになった人も少なくない。

  何と13万8000人の足に影響したというのだから、JRも頭が痛いだろうし、その危機管理が問われるだろう。汗だくになりながら、迷惑を被った多くの人は「何をやっているんだ、JR東日本」と思っているはずだ。

  実は京葉線を基本的に利用している。きょうも夕方、東京国際フォーラムを歩いて、京葉線の改札口に向かった。すると、人影がまばらしかいない。こんな光景は、早朝ならあるかもしれないが、深夜でもない。変電所の火災とか、停電とか職員がマイクを持って説明している。「午後5時に復旧すると案内していましたが、現段階では復旧の見通しは立っていません」と聞こえる。

  仕方なく、動く歩道を通り、東京駅のメーンである新幹線、東海道線、山手線、京浜東北線、中央線乗り場に通ずる通路をえんえんと歩く。地下ホームの横須賀・総武快速線まで7、8分かかり到着した。

  次々に電車がくるが、どれもが超満員。仕方なく汗だくになりながら、始発が来るのを待つ。待つこと、約25分。ようやく座ることができた。復旧まで7時間もかかったというから、この方面のJRの危機管理のなさを証明したようなものだ。

  途中でストップした電車から新木場駅まで猛暑の中、線路を歩かされた人もかなりいたという。JR東日本の幹部たちは、エアコンの効いた部屋でただおろおろとしていたのだろうか。

  本社の人たちをすぐに動員して、線路を歩いた人たちに冷たい水を提供するぐらいの柔軟性がJRにはないのだろうかと思う。最近、京葉線ではこうしたハード面のトラブルが相次いでいる。にもかかわらず、同じミスを繰り返すのは危機管理に欠陥があるからと思われても仕方がないだろう。ディズニーランドがある舞浜では、振り替え輸送のバスを待つ人々が長い列をつくった。海外からやってきた人は、もう日本はごめんだと思ったかもしれない。

 民営化されたJRは効率優先が目立ち、こまかなところまでサービスが行き届いていない。沿線の人口が急増しているにもかかわらず、電車の本数は増えず、車両も旧態依然のものを使っている路線も多い。それに比べたら、私鉄の方が真面目に乗客サービスを実践していると私は思う。

 多数の犠牲者を出したJR西日本の福知山脱線事故で、検察は安全担当役員だった山崎正夫社長(起訴ご辞任)のみを起訴した。その他の幹部の責任は問えないと判断したという。しかしそうだろうか。

 JRという公共輸送機関は、乗客の安全に全社一丸となり、それを指揮するのは役員たちではないか。とすれば1人だけの起訴は、必ず検察審査会で問題にされるだろう。京葉線の事故から話が飛んだが、JR東日本の危機管理能力はかなりおかしくなっていると、多くの乗客が思っているはずだ。JRさんどうでしょうか。