小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

482 お掃除エアコンの勘違い CMを信じ恥ずかしい体験

「あなたに代わって、お掃除(フィルター)するエアコン、誕生」というキャッチコピーに惹かれて、古くなったリビングのエアコンを買い換えたのは、2005年の初夏だった。

  これは便利だ、掃除をする必要はないなんて、無精者には最高だと思い、この製品を選び、きょうまで問題なく使ってきた。掃除不要というのは実は勘違いだった。ナショナル、現在はパナソニックのエアコンだ。

  つい先日、家で使っているほかの3台のエアコンの掃除を専門業者に頼んだ。三菱電機製が2台、シャープ製が1台だ。いずれもが、かなり古くなってクーラーの効きが悪い。業者の掃除に立ち会った家族によると、3台とも機器の内部がかなり汚れていたという。

  3台の掃除が終わってから家族は掃除の業者にリビングのエアコンのことを聞いた。私たちの認識は「人間に代わって掃除をしてくれるエアコン」なのだから、掃除は全く必要ないということだ。「ここのエアコンは、半永久的に掃除をしなくてもいいのですよね」と家族。「そんなことはありませんよ。ほこりはほかのエアコンと一緒にたまりますし、カビも生えるかもしれません。だいぶ効きが悪くなっているかもしれませんよ」と、業者。

  家族からその話を聞いた私は、そのエアコンの説明書を開き、掃除不要というのは勝手な思い込みだと思い知った。「世界初、自動吸引・排出 お掃除ロボット搭載」とカタログやCMにはある。しかし、説明書には「自動クリーニング機能」の後に、ほかの説明書と同様に「お手入れ」について2ページにわたって触れているではないか。

  慌てて、椅子を使ってエアコンのパネルを開け、4年分のほこりとごみを掃除した。それは半端なほこりではなかった。妻と2人で1時間近くかかった。ようやく終わったときは、2人とも汗だくになっていた。フィルター類を乾燥させ、電源を入れると、格段にクーラーの効きはよくなった。

  メーカーや電器量販店の人たちは「説明書をよく読んでください。エアコンを掃除するのは常識ですよ」と言うだろう。そうかもしれない。しかし、このエアコンを買う際に、そうした説明を聞いた記憶はない。

 「掃除はエアコンが勝手にやってくれる」と、私も妻も思い込んでいた。たしかに、それまでのエアコンの機能よりもフィルターはきれいに保ってくれているようだ。消費電力は少なく、クーラーの効きもいいらしい。

  説明書をよく読まなかった私たち家族に問題があったことは言うまでもない。しかし、考えてみると、このエアコンのカタログや私が購入した当時にテレビで流されたCMは誇大広告といってもいい。いまは、もっと消費者を大事にする姿勢がCMにはあるはずだ。

  それにしてもだ。暑い真夏に汗をだらだらと流しながら、本来は涼しくしてくれるエアコンを掃除している姿はブラックユーモアそのものではないか。教訓=1年に最低1回はエアコンの掃除を。