小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

322 9月の始めに 福田首相の電撃辞任

  きょうから9月。震災訓練に防災服で姿を見せた福田首相が夜9時半に突然に記者会見を開き、辞任することを明らかにした。またも1年未満の短期政権だ。辞任表明のテレビの生中継を見ながら、日本の無責任体制はいつまで続くのだろうと思ったものだ。

  福田さんは、言葉の端々に達観した様子がうかがえた。が、力量のなさをテレビで見た多くの国民が感じたに違いない。「内閣支持率の問題もある」「私は自分を客観的にみることができる。(質問した記者に向かって)あなたとは違う」(民主党の小沢代表に対しては)「ねじれ国会で苦労をさせられた。話し合いに応じてもらえなかった。彼は聞く耳持たない。国のために虚心坦懐に胸襟を開いて、話し合いたかった」

  先週末に辞任の意思を固めたという福田さんは、記者会見の時間を制限した。記者団の問いに、じっくりと答えるのが首相の最後の責務のはずだが、それ以上の時間を使ったら、ボロが出ると思ったのだろうか。

  福田さんがやめることについて、いろいろな憶測が出るだろう。あの会見だけでは真意は伝わらない。安倍、福田という2人の世襲議員が政界のトップに立ちながら、短期間で挫折した。「政界は一寸先が闇」といわれる。その闇は、何だったのだろう。パートーナーである公明党の選挙目当てとしか思えない「定率減税」のごり押しが、福田首相の辞任へと結びついたのかもしれない。

  それにしても、最後の記者の質問に対し「私は自分を客観的にみることができる。あなたとは違う」と言った言葉は傲慢であり、言いすぎだ。客観視できたのなら、首相の椅子に座らなければいい。2代続けて短命内閣を持った日本国民は不幸ではある。自民党は、ここらで信を国民に問うべきだと考えるのは私だけではあるまい。

  テレビを見ながら思った。つまらない人が首相になったが、早くやめてくれるのは、国民にとってはよかったことだと。