小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1062 「遥かなりラオス」 頑張れノンちゃん!

画像 2009年9月、ラオスを旅した際、お世話になった現地NGOの女性で「ノンちゃん」という愛称を持つ、庶民の味方がいた。そのノンちゃんが最近、体調を崩したと聞いた。肝臓の状態が芳しくなく、病気と闘う日々を送っている。彼女の回復を祈りながら、このブログを書いている。頑張れ、ノンちゃん!

  ノンちゃんの全面的協力でラオスの山岳地帯に学校を建設してきたNPOアジア教育友好協会(AEFA)は、ノンちゃんの現場復帰を応援するためカンパを募る取り組みを始めた。他の媒体に書いたノンちゃんに関する文章と、カンパを募る呼び掛け文を以下に紹介する。

 

 1、ノンちゃんについて

 「故郷の子どもたちへ ラオス肝っ玉かあさん

  山本周五郎の「赤ひげ診療譚」に登場する医師は、貧しい人々を大事にするボランティアの見本のような人物だ。そんな人に最近ラオスの南部で出会った。医師の資格を持つ、たくましい女性だった。どんなことも自分で率先してやってしまうその人は、日本のNPO関係者から「ノンちゃん」と呼ばれ、信頼されている。私はノンちゃんに会い、どこの国でも庶民を大事にする赤ひげのような人が存在することに深く感動した。 

  ノンちゃんは愛称で、本名はブアラペ・チュンタポンという。なぜ、ノンちゃんと呼ばれるのか。ノンちゃんは1967年1月1日の早朝に生まれた。ちょうどその時、近くの教会の鐘が「リン、ノン」(ラオスの人は鐘の音をこう表現するという)と鳴った。これを聞いた両親は、本名とは別にすぐに「ノン」という愛称で呼ぶことにしたのだという。その顔は、日本の菓子メーカー・不二家のマスコットの「ペコちゃん、ポコちゃん」の「ペコちゃん」をほうふつさせるほど、あいきょうがある。

 元気がよくて彼女の周辺はいつも明るい。彼女はラオス南部のサラワンという地域の出身で、首都ビエンチャンの国立大医学部を出た後、タイの大学にも留学した。ラオスに戻ってからのインターン時代、この国の人たちの衛生状況がいかにひどいかを目の当たりにする。当初、ノンちゃんは大都会での病院勤務を希望した。

  そのポスト待ちの間に、NGO「VFI」が医者のボランティアを探していることを知り、3カ月間の限定で手伝うことにした。その結果、医者の使命は病気になった人を助けるだけでなく、病気にならないよう多くの人を指導することも大事なことだと気が付いた。そして、病院に来ることもできない人を助けることも自分の使命だと思い、進む道を変えることにした。いわゆるプライマリ・ケアの考え方といえようか。そんな思いを両親に打ち明けた。

  ラオスでも医師はエリートだ。両親の反対は強かった。両親は、ノンちゃんには素晴らしい未来が開けているはずだと信じている。さらに、政府からはビエンチャンの病院のポストが空いたという連絡がきた。それを投げ打って、ノンちゃんはサラワンでのNGO活動に飛び込んだのだった。NGOは、日本との協力で辺境に学校を建設する業務もやっている。彼女はその後少数山岳民族が住むタオイ地区にNGOの出張所「タオイセンター」を2001年に設立し、7人の子どもたちを養子として引き取り、育てている。

  彼女は、NGOの活動家として日本の団体(アジア教育友好協会=AEFA、国際協力機構=JICA)との折衝に当たるだけでなく、そうした団体と地元民との折衝の際の通訳のほか現地に向かう際の運転手も兼ねている。タオイセンターにいるときは、子どもたちの母親として炊事もやるし、得意のギターで子どもたちと歌を楽しむ。そんなノンちゃんを「肝っ玉かあさん」と、呼ぶ日本の関係者もいる。

 ノンちゃんは、通常サラワンとタオイを行ったり来たりして、日本の支援で辺境に学校をつくる活動やプライマリ・ケアを実践している。タオイ地区は、サラワンからかつてホーチミンルートと呼ばれた山岳道路を使って約80キロもある。雨季にはこの道路はぬかるみ、深い溝ができてしまい車で通行するのは容易ではない。天気の様子を見ながら、行き来をするが、あまり無理はできない。下手をすれば山の中で立ち往生してしまうからだ。

 ことし9月下旬、ノンちゃんは日本のAEFAや学校関係者を案内してタオイに向かった。案の定、途中は悪路で80キロの道のりを約10時間もかかってしまった。自分もはだしになって道路工事を手伝いながら、ノンちゃんはNGOの若いスタッフに「絶対に暗い顔は見せないで。笑いなさい」と言い続けたという。それは、ピンチになっても決してくじけないという、ノンちゃんの矜持のように私には思えた。

  ラオスは貧しい。2006年の推定では、一人当たりの年間の国民所得は500ドルしかない。さらに山岳部のタオイではもっと下がって300ドル程度だ。そんな村だからこそ、ノンちゃんは「教育の大事さ」を痛感し、子どもたちのために情熱を注いでいるのだ。それにしても、彼女には悲壮感がない。くよくよすることよりも、まずは「行動ありき」なのだろう。2005年に行われた「ノーベル平和賞に女性1000人を」のプロジェクトで、ノンちゃんもノミネートされたという。それは至極当然だのことだと思った。(2009・10現代の風景より)

  2、カンパの呼び掛け文

 「ラオスの『ノンさん』を知っている皆さんへ」

  いつもAEFAの活動をご支援頂きまして、ありがとうございます。さて、今日はAEFAではなく、金子と佐藤からの個人的なお願いで、ラオスのパートナーNGO代表、ノンさんに会われたことのあるみなさまに、このお知らせをお送りしています。

  実は大変残念なことに、11月終わりに金子と楠山がラオス出張の際、ノンさんが重い肝臓疾患(肝硬変)であることがわかりました。タイのチェンマイと、ラオスビエンチャンの病院に行ったばかりというときで、治る確率は半々、半年後には仕事が出来ない身体になっているかもしれない・・との診断とのこと、私たちも大変ショックを受けました。 昼間は、無理をおして現場にも同行し、いつもの明るく元気なノンさんです。夜になると、毎晩ニャイさん(NGOのパートナー)と2人、涙、涙の日々を送っています。

  谷川さん(AEFA理事長)のお知り合いの先生や、石塚さん(AEFA理事)の主治医の先生(肝臓のご専門)にも、ノンさんの病状について今あるデータをもとに聞いて頂きました。が、データが不十分で、はっきりしたことはわかりません。今月末、バンコクの大きな病院で再度検査を受けたうえで、今後の治療方針が決まります。保険がきかない外国での治療になりますので、ノンさんにとってもかなりの負担になることが予想されます。

  AEFAの活動とは直接関係のないことですが、ノンさんあって、AEFAの活動が発展してきたと言っても過言ではありません。この9年間、ノンさんのバイタリティーと熱意、そして村人との信頼関係で、ラオスのプロジェクトを推進してきました。これからもノンさんと一緒に仕事をしていきたいですし、ノンさんを必要としている子ども達、村人がラオスにはたくさんいます。ノンさんが納得できる治療を受けられるように、私たちもできるかぎりの協力をしたいと思っています。

  そこで、『ノンさん、絶対、元気に現場に復帰!プロジェクト』(実行委員:金子、佐藤)を立ち上げることにしました。大変厚かましいお願いになりますが、私たちができることも限られていますので、どうか皆さんのお力もお借りして、ノンさんのためにご協力頂けないでしょうか。まずは、先立つものとしてカンパをお願いさせて頂ければと思います。

  これからの治療方法、治療を受ける国によっても違いますが、薬代や渡航費など100万円を目標に集めていきたいと思います。

  口座番号: ゆうちょ銀行 10130-89110041 ノンちゃんの会

 カンパを頂いた方には、逐一ご報告いたします。みなさまのご理解とご協力をいただけますよう、心からお願いいたします。どうぞ、よろしくお願いします。

 『ノンさん、絶対、元気に現場に復帰!プロジェクト』金子恵美・佐藤佳子

  アジア教育友好協会 〒105-0014 東京都港区芝3-3-10 芝園オーシャン8F

 電話 03-6426-0720

 

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 私の周囲にはC型肝炎ウイルスに感染し、インターフェロン治療によって劇的に症状が回復した人が何人もいる。現代医療は発達している。医療の力と精神力でノンちゃんも肝臓病を克服してほしいと祈念する。

  以下、ノンちゃんと関係の深いラオスについてのブログ

 http://hanako61.at.webry.info/200909/article_11.html

 http://hanako61.at.webry.info/200909/article_12.html

 http://hanako61.at.webry.info/200910/article_3.html

 http://hanako61.at.webry.info/200910/article_4.html

 http://hanako61.at.webry.info/200910/article_5.html

 http://hanako61.at.webry.info/200910/article_6.html

 http://hanako61.at.webry.info/200910/article_7.html

 http://hanako61.at.webry.info/200910/article_10.html

 http://hanako61.at.webry.info/200911/article_3.html

 http://hanako61.at.webry.info/201003/article_1.html