小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

922 あの日あの時私は何をしていたか 阪神淡路大震災から17年

 きょうで阪神淡路大震災(1995年1月17日)から17年になった。長い歳月が流れたにもかかわらず、あの日のことはよく覚えている。人は自分の生涯で「忘れることができない」幾日かを持っている。喜びと悲しみの個人史であり、昨年の3月11日は現代に生きる日本人、とりわけ東日本に住む人にとって長く心に刻まれる悲しみの一日になったのではないか。

  17年前当時、埼玉県浦和市さいたま市)に単身赴任をしていた。1月17日昼に船橋市内で予定されていた同僚の葬式に参列するため、前夜から自宅に戻っていて自宅のテレビで大地震兵庫県を中心に発生したことを知った。この日は同僚の葬儀に参列してから、浦和に戻り、夜には定年退職した先輩の送別会が開かれた虎ノ門の国立教育会館に向かった。

  2人とも南極観測隊に同行した経歴があり、地震や台風などの自然災害を専門に担当していた。同僚は40代半ばでがんに侵され、闘病と職場復帰を何度か繰り返し、つい数日前に息を引き取った。一方、神戸に数年前に住んでいた先輩は60歳の定年を迎え、こんなあいさつをした。

 「きょうは神戸で大変な地震が起きた。このような日に送別会を開いてもらって恐縮に思う。昼にはM君の葬式があったが、私も彼も地震を含めて自然災害問題を中心に取材してきた。神戸の大地震は因縁めいたものを感じるのだ。私は神戸にも住んだことがあり、現地の様子が心配でならない。後輩の皆さんの健闘を後方から見守りたい」

  いま、日本人の平均寿命は男性が79・64歳、女性が86・39歳だ。(平成22年簡易生命表)医師の日野原重明さんや詩人の柴田トヨさんら100歳を超えても元気な人も少なくない。こうした人生の大先輩たちは戦争という最も過酷な時代を体験し、戦後も様々な事象を体験してきた。「1・17」と「3・11」は、そうした人たちにとってもひときわ重い歴史的一日になるだろう。

  このところ、寒い日が続いている。北海道岩見沢市では16日夕方の積雪が194センチと、観測史上最高記録を更新した。地元の人は「自分たちの手で除雪は限界だ」と訴えている。昨年1月、岩見沢に近い夕張に行き、民家をのみこむほどに積もった雪に遭遇した。岩見沢市民の言葉は豪雪地帯の過酷さを表現したものだ。

 一方、先日訪れた富山では、冬晴れの中、富山の街々を包み込むような優しい立山連峰の姿を見た。これが阪神大震災から17年後の日本の風景であり、私の個人史として記憶にとどめたい。