小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

858 ノルウェーは「滝の国」 北欧じゃがいも紀行・3

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「なぜ、ノルウェーは滝が多いのでしょうか。あの滝の源は何でしょうか」と、同行の一人から聞かれた。ノルウェーフィヨルドを訪ねるバスの車窓から数限りがない滝が見える。

 フィヨルドクルーズでも、山岳鉄道でもそれは当然のように飛び込んできた。ノルウェーは「滝の国」だと、勝手に名前を付けた。 同行者から滝の源について聞かれたのは、全長204キロに伸びたノルウェー最大のソグネフィヨルドでのクルーズの途中だった。 辞書によるとフィヨルドというのは、氷河による浸食作用によって形成された複雑な地形であり、湾や入り江のことである。それはノルウェーニュージーランドに代表されるという。以前ニュージーランドのミルフォード・サウンドを訪れた際の写真は、大きく引き伸ばし私の部屋に飾ってある。それほど心に残る風景だった。

 同行者の質問に私は大体このように答えた。

「100万年前の氷河期につくられた山の氷河から夏の間に溶け出した水が、あのような滝になったのですよ。ノルウェーは氷河がかなり残っているので滝も多いのです」。それにしても、この滝の多さはNZのミルフォード・サウンド辺りに比べたら、段違いだ。

 日本の滝で心に残るのは日光の華厳の滝、茨城・袋田の滝、長野の白糸の滝、北海道知床のオシンコシンの滝、フレペの滝などだ。これらの滝の源はもちろん氷河ではない。ちなみにフレペの滝は、地元の斜里町観光課のHPによると、知床連山に降った雪と雨が地下に浸透し、垂直に切り立った約100メートルの断崖の割れ目から流れ落ちているのだそうだ。

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 人は滝を見て何を連想するのだろう。私は故郷に近い袋田の滝の麓で食べたけんちんそばの味を忘れることができない。同行の一人を「ポーリングの滝」を背景に写真を撮ろうとしたら、彼はバッグの中から一枚の写真を取り出した。この日が亡くなった奥さんの命日なので、一緒に写してほしいというのだ。奥さんの写真と一緒に海外の旅をする、彼の心情がうれしかった。

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 2007年9月、NZのミルフォード・サウンドを訪問した私はブログでこう書いた。「私たちは南島のリゾート地、クイーンズタウンからバスで現地に向かった。文字通りいくつもの野を越え、山を越えて約300キロ。そこに氷河を抱いた山々が あり、ミルフォード・サウンドフィヨルドがあった。途中、雪に見舞われた。これでは現地は雨かという不安が広がった。だが、目の前の空は真っ青に晴れ 渡っていた」。 それから4年。NZやノルウェーの氷河は、地球の温暖化によってかなりの勢いで溶けている。そう遠くない時期に、ノルウェーの滝が少なくなってしまう可能性もなきにしもあらずだと危惧する。 

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(おいしいジャガイモ料理も食べ飽きた)