小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

738 青い空に似合う皇帝ダリア うれしいピアノ・萩原さんの優勝

画像 ことし初めて植えた皇帝ダリアの花が咲き始めた。本当に「背高のっぽ」の植物だ。 庭の花はほとんどなくなり、これから冬を越すパンジービオラがホームセンターに並んでいる。そんな季節、皇帝ダリアの存在は目立つ。青い空に向かって、思い切り背を伸ばしている。

 ダリアは18世紀のスウェーデンの植物学者「Dahl」の名前から付けられたそうだが、さらに「皇帝」という冠は、樹木に負けないほど幹をまっすぐに伸ばし、その威風堂々とした姿が皇帝にふさわしいというので、だれかが付けたらしいのだ。

 何しろ幹は3メートル以上もある。原産地は中南米で、標高900~2700メートルの高地で咲いているという。だからコートが必要になった日本のこの季節に咲いているのだ。

 真夏の暑い盛りにホームセンターでわずか10センチ程度の苗を2本購入し、庭の一角に植えてみた。幹はどんどん成長する。しかし、強い風が吹くと、危うく倒れそうになり、あわてて添え木をする。成長が早いので添え木も上へ上へと継ぎ足していく。

 花芽が確認されたのは今月になってからだ。つぼみが次第に大きくなり、紫の花が一輪だけ咲いたのは15日ごろだった。それからほかのつぼみも花になっていく。朝、犬の散歩から帰って、この花を見上げるのが楽しみなこのごろだ。花のはるか上に青い空が広がると、気分も爽快になる。この花は青い空に映えるのだ。

 若手演奏家の登竜門であるジュネーブ国際音楽コンクールのピアノ部門で、広島市出身の萩原麻未さん(23)が優勝したというニュースに接して皇帝ダリアを連想した。萩原さんは、高い目標に向かって、すくすくと成長を続けたに違いない。

 そして、なかなか優勝者が出ないコンクールで才能を開花させた。花が少ない季節に我が家の庭で開花した皇帝ダリアは、萩原さんの未来を祝福しているかのようだ。 この部門で日本人が優勝するのは初めてだそうだ。最終審査で萩原さんは、ラベルのピアノ協奏曲を演奏したが、審査員の一人、岡本美智子桐朋学園大教授が「自然に音楽が流れ、繊細で軽やかなタッチの美しい音色が魅力だった。3次予選のシューマンの『子供の情景』には審査員みんなが感動した」と話したことが新聞に載っていた。

 クライバーン国際ピアノコンクールで辻井伸行さんが優勝したのは、2009年6月7日のことだ。それから1年後に、今度は女性の萩原さんが難関を突破した。日本人の感性の豊かさを裏付けているようで、うれしいニュースである。萩原さんの好物は「ブロッコリー」料理だそうだ。体にはよさそうだが、どんな料理か興味がある。