小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

489 炎暑のつぶやき(続) おじいちゃん先生の名言

  私の主治医は、おじいちゃん先生です。ふだんは苦虫をかみつぶしたような、愛想のない顔をしています。わたしはhanaという名前の犬のゴールデンレトリーバーの雌で、7歳になりました。優しい家族の家に飼われています。夏の暑さには参ってしまい、このおじいちゃん先生に時々お世話になるのです。

  先日、家族と一緒に先生のところに行きました。フィラリアの薬をもらうのと定期健診です。その前に体調を崩して駆け込んだばかりでしたので、先生はまたかという顔をしていました。私が診察台に上がるのを嫌がると、いつもは手伝うことはしないのに、今度は後ろに回って、手伝ってくれました。

  体重は26キロくらいなので、同じ仲間に比べるとそう大きくはないのですが、私を持ち上げるのは人間でも簡単ではないのです。診察台に上げてもらうと、いつもは「この犬は大丈夫ですか。かみついたりはしませんか」と聞くのですが、そんな質問はなく、優しく私の体を撫でてくれるではありませんか。

  私は大人しくしていました。すると、先生も難しそうな顔をほころばせて、家族に言うのです。「この子にとっては、飼い主さんの愛情が一番のごちそうなのです」。いろいろな物を食べさせたりするよりも、愛情を持って優しく接することが大事ですよということなのでしょうか。

  診察台の上で、私は泣きたいくらいうれしくなりました。私の思っていることを先生は見事に代弁してくれたのです。私の家族はふだんから先生の言うよう接してくれていますが、こんなことを言う先生はこの日、きっといいことがあったに違いありません。

  私は人間の食べものに興味があり、家族が食べているものは何でもほしくなります。果物は大好きで、スイカや桃には目がありません。そしてヨーグルトは一番の好物です。お父さんから時々ヨーグルトの残りをもらいますが、そのときが一番の幸せのように思います。あ!ママからもらうご飯も甲乙つけがたいことを付け加えます。

  それから、そうですね、最近ではあの苦味のあるゴーヤ(ニガウリ)も好きになりましたよ。お父さんが、スライスしたゴーヤの上にカツオ節をかけ、しょう油で食べているのを見ておいしそうだなと思っていました。でも、少しだけもらって初めて食べたときには吐き出してしまいました。

  それなのに、キャベツに混ぜてもらったときには、けっこうおいしく感じたのです。それでつい、キャベツなしに、ゴーヤだけでも食べるようになりました。変ですかねえ。

  ところで、年々夏の過し方が大変になりました。過保護といわれるかもしれませんが、朝夕の散歩があまり楽しくないのです。もう暑くて、暑くてたまらないのです。7月も最終の週に入りました。この我慢もあと2ヵ月程度、おじいちゃん先生のお世話にならないよう頑張りたいと思います。でも、雷は怖いなあ。きょうの夕方もありました。参ったなあ。