小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

862 旅と写真と心に残る風景 北欧じゃがいも紀行・7(完)

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かつて海外で眼鏡を掛け、首からカメラをぶら下げていたら、ほぼ日本人に間違いがないといわれた。日本人の写真好きはどの国にも負けないのかもしれない。(デンマークコペンハーゲンのニューフウン地区。赤い家にアンデルセンが住んでいた) それは、日本のカメラメーカーが製品の優秀さで世界のカメラ市場を動かしているという背景があるのだろうか。でも、最近は中国人の方が写真好きになっているのではないかという思いを強くしている。 ノルウェーソグネフィヨルドをめぐる約2時間のクルーズ船に乗った。そこにはもちろん、ヨーロッパやアメリカ系白人が多く、ほかには日本人と中国人がいた。船が動き出し、美しい風景が広がってくると、カメラによる「撮影合戦」が始まった。2人に1人はカメラを持っている。 中でも目立つのは、中国の人たちの撮影意欲だ。下から上に、さらに縦横に船内を歩き回って絶景ポイントを探し出すと、そこに他人がいても構わずに入りこんできて被撮影者はポーズをとり、撮影者はシャッターを押す。そのエネルギーに到底私は及ばない。
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もちろん、白人たちもカメラを構える人がいるが、それほどでもなく、景色を楽しんでいる。一眼レフのニコンやキャノンの高級そうなカメラを持っているのは、中国のグループだ。彼らの勢いに押され、私といえばこのクルーズで撮影した写真は10数枚と少なく、心に残るような景色もあまりなかった。 9月の10日間でデンマークノルウェースウェーデンの北欧3カ国を歩いた。フィンランドを加えた4カ国は社会福祉が高度に発達し、住みやすい国々といわれている。半面、税金が高いので、ショッピングが目的の旅行には向かないだろう。 ノルウェーオスロでは7月、政府庁舎付近での爆発とオスロから40キロ離れたウトヤ島での労働党青年サマーキャンプ参加者への銃乱射で77人が死亡し、100人以上が負傷したテロがあった。ムンク「叫び」がある国立美術館は、政府庁舎から遠くない場所にあるが、周辺を歩いている人たちの表情に、緊張感はなかった。個人による犯行であり、北欧は安全な国という意識が強いからなのだろうかと思った。画像 今回、あまりにも景色が美しいがために私のカメラには、北欧の人たちの表情が写ったコマは少なかった。それでも親子が一緒にいる光景が何枚かあった。どこの国でも、家族の光景はほほ笑ましい。写真を見ながら、東日本大震災原発事故で引き裂かれた家族の悲しみを思い出し、複雑な気持ちになった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 今回の北欧旅行にはソニーのαNEX-5Dというミラーレスカメラを持参した。一眼レフとコンパクトカメラの中間のようなカメラで、軽量の割には撮影した画像はかなり期待ができるという評判だった。結果はどうかといえば、まだ使いこなしていないのでよく分からない。
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