小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1190 少なくなった体操仲間 水泉動(すいせんうごく)の朝

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 2カ月近く休んでいた朝のラジオ体操に参加した。凍てつく朝。日の出の時刻は午前6時50分前後なので、体操をやる遊歩道の一角は少しずつ明るさが増している状態だ。それにしても見慣れていた以前の光景とは様変わりなのに驚いた。

 集まった人数は私を入れて12人しかいないからだ。夏休みの時期には子どもたちを含めて60人近い人数が集まるというのに、あまりの変わりようなのだ。寒さは人間には敵なのだと思う。 昨年7月末に飼い犬が死んだ。

 それまでは毎朝、犬とともに散歩をしていたのだが、その習慣もやめてしまった。犬との別離で落ち込んだ気持ちを何とかしようと思い、ラジオ体操に参加したのは8月初めのことだった。たかが体操と考えていたのは間違いで、第1、第2の2つの体操をやると体の節々が悲鳴を上げ、スムーズに体が動くようになるまでに1カ月は要した。

 旅行のため11月下旬から朝の体操をストップし、帰ったら当然再開をする予定だった。しかし以前のブログにも書いたように、空港で左肩を痛めてしまい、ラジオ体操ができないまま年を越えてしまった。

 痛めた左肩をかばいすぎたためか右肩の方も痛み出したりしたが、漢方薬の効果か最近、ようやく両肩とも少しずつ動かせるようになってきた。 ラジオ体操の効果については、さまざまな説がある。NPO全国ラジオ体操連盟によると、(第1、第2合わせて13の運動を)継続することにより体全体の血流がよくなり、筋肉に弾力性ができるのだという。

 漢方薬のようにじわじわと体のなかに染み込み、もとの健全な状態に戻す働きをするわけだ。その結果、風邪をひきにくくなったり、血圧や血糖値が下がったり、坐骨神経痛やギックリ腰の症状が軽くなったという声も少なくないそうだ。

 体操といえば、大リーグ・ヤンキースイチロー選手は、外野の守備位置に就くと膝の屈伸や上体を前屈して両手をつま先に触れるなどの柔軟体操(ストレッチ)をしているのがよくテレビ画面にも映し出される。ふだんから筋肉の柔軟性を維持するためにトレーニングもしているというから、スポーツ選手にとって柔軟性がいかに重要かという哲学を持っているのだろう。

 少ない人数のラジオ体操の会場でも、寒気を振り払うように、伸び伸びと体を動かしている人が目につく。継続していればこその元気なのだろうか。 季節を72で分けた「七十二候」の一つに「水泉動」がある。

「すいせんうごく」あるいは「しみずあたたかさをふくむ」と読み、地中で凍った泉が動き始めるころの意味だという。1月10日―14日ごろに相当するそうだからちょうど今ごろを指す。そして、間もなく「小寒」から「大寒」へと寒さが増す時期に移っていく。しかし、地中では春へと向かう動きが少しずつ出始めているのであり、日の出の時間が早くなるように、ラジオ体操の仲間たちも少しずつ増えていくことだろう。

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 体操の仲間も休む寒の朝

体痛めて情け知る 空港での心温まる話

ラジオ体操の効用 

被災地ではおらほの…