小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

1608 ラジオ体操人目指して 師走の独り言

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 12月も中旬になると、日の出も遅くなった。いまは七十二候でいう「大雪 末候の鱖魚群(さけむら)がる」時期で、最も昼の時間(日の出から日の入りまで)が短い冬至は22日だから当然なのだ。私が住む千葉のけさの日の出は午前6時41分40秒(CASIOのKEISANサイトより)だった。近所の広場のラジオ体操参加者も急に少なくなった。数えてみたら、私を入れて14人しかいなかった。  

 この広場でラジオ体操が始まったのは、もう10数年前になる。私も毎朝参加するようになって、4年になった。広場のある町内会が2つのラジカセを提供し、6時半にはNHKの第1放送に合わせて、参加者がラジオ体操をやる。夏の最盛期には70人を超えるほど盛況だ。だが近年、11月も中旬になると、約半数の人たちが3月中旬まで冬休みに入りようになり、残った30数人が雨や雪の日を除いて朝の体操を続けている。

 参加者の高齢化が進んでいるためかこの冬からは12月15日でさらに多くの人が休みとなり、ラジオの貸し出しもなくなった。しかし、長年決まった時間にラジオ体操をやり、そのあとで散歩をするという習慣の人たちは、継続することになり、16日朝もポツリポツリと集まってきて、14人になった。そのうち3人が携帯用の小型ラジオを持参、音量を上げて放送に合わせ、体を動かしたのだった。

「ラジオ体操人」という言葉があるそうだ。高橋秀実さんは『素晴らしきラジオ体操』(小学館文庫)の中で、「年中欠かさず、ラジオ体操に行く人を、自称『ラジオ体操人』という」と書いている。さらに「『槍が降ろうがラジオ体操』とはラジオ体操人の決まり文句で、本当に暴風雨の中、カッパを着てラジオ体操をしている」とも付け加えている。広場に集まる人たちは、そこまで行かなくとも、「ラジオ体操人」の資格はあるのかもしれない。  

 ラジオ体操を終えて、散歩コースの調整池の周りを歩いていると、東の空から太陽がようやく顔を出し始めていた。池では渡り鳥がのんびりと泳いでいるのが見える。体は次第に温まってきて、足のけがを忘れて早歩きになった。

1190 少なくなった体操仲間 水泉動(すいせんうごく)の朝 1539 寒風が吹いても 強き言葉で 1150 ラジオ体操の効用 被災地ではおらほの……