小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

742 フラガールの地にて 迫力に満ちた踊りに酔う

画像 福島県いわき市スパリゾートハワイアンズ(旧常磐ハワイアンセンター)に行ってきた。温泉に入り、この施設の名物であるフラダンスショーを見た。 洗練された踊り子たちの動きを見ながら、映画「フラガール」を思い出した。

 あらためて書くまでもないと思うが、かつていわき市には民謡にも歌われた常磐炭鉱(1976年に閉山)が存在し華やかな時代があったと聞く。だが、炭鉱は閉山の危機を迎える。そこで、町おこしのためにハワイアンセンター構想が持ち上がり、1966年にオープンする。

 その目玉としてフラダンスショーが計画されたのだ。 ダンサーはすべて炭鉱で男たちが働く家の女性であり、こうした素人の女性たちを訓練したのは、日本フラダンス会の第一人者といわれたカレイナニ早川さんだ。映画は早川さんをモデルにした平山まどか(松雪泰子)とフラガールのリーダー紀美子(蒼井優)を軸に初舞台までの動きを描いたものだ。

 フラガールたちのひたむきさが心に残る名映画だった。映画はこの施設の発展に大きく貢献したのではないかと思う。日曜の夜にもかかわらず、施設内は多くの人でにぎわっていた。フラダンスショーは午後8時半開始だが、8時を過ぎるとほとんど満席状態になった。 第一部のショーはたいまつを使った男性の踊りに始まり、迫力に満ちていた。

 正式には「新グランドポリネシアショー」というのだそうだ。サモア、ハワイ、ニュージーランドタヒチとフラダンスの伝統がある地域の歌が次々に流れ、29人の踊り子たちが一糸乱れぬフラダンスを見せる。 途中の体験コーナーでは、舞台に上がる人は少ないと思ったが、予想に反して舞台いっぱいに子供からお年寄りまで足を運んだ。

 第二部では、かつてニュージーランドで見たマオリの踊りが再現された。しかし、ニュージーランドラグビーチーム、オールブラックスが試合前に演じるという、発祥の地の「力強さ」とは無縁の美しさあふれる踊りになっていた。 映画の主題歌である「フラガール ~虹を~」がフィナーレ(24曲目)だった。

 映画と同様、1時間を踊り終えた女性たちの目が輝いているのが印象に残った。知人の奥さんもフラダンスをやっているが、若さを保つ意味でも効果があるようだ。(写真はスパリゾートハワイアンズのHPより)