小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

616 iPad30万台とは 書籍の世界の革命なのか

  米国のアップルがこの3日に発売したばかりのiPadという新型の携帯端末が、初日に30万台も売れたと夕刊に出ていた。この端末で見ることができる電子書籍は1日で25万冊以上販売されたという。日本でも近く発売される予定なので、書店関係者には脅威の端末といっていい。

  ソフトバンクの携帯電話iPhoneを使い、携帯パソコンを持ち歩いている知り合いの米国人に「iPadを買う予定は」と聞いてみた。すると、彼から「私は紙の方が好きなので、必要ありません」という答えが返ってきた。

  新聞や本といった「紙」を媒体とした文化・情報の伝達と、デジタル電子端末を利用した情報伝達の違いを比べたら、紙媒体の方にまだ軍配があがるはずだ。しかし、米国の発売初日で30万台を記録したという電子端末の影響力は軽視できない。

  日常的に紙の本を読んでいる。パソコンや携帯を利用してインターネットも見ているし、メールもやっている。それは、平均的な日本人の姿なのかもしれない。だが、読書となると、やはり知人の米国人のように、現在のところは紙の本がいいに決まっている。

  以前、インターネットからダウンロードし電子辞書に保存して読もうと思った小説を途中で投げ出したことを思い出した。もちろん、画面が小さいというハンディキャップがあったが、それだけではなく、電子端末は目が疲れるのだ。

 そのために紙の本のように、長い時間頁をめくる作業はできないのではないかと想像する。時代の変化は大きい。その結果、何かが淘汰され、新しい事業が展開される。だが、そんな便利なものがなくとも、生きていくことができる時代でもある。便利さの追求は、やりたい人がやればいいのである。