小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

586 トヨタよどうした!

  このところ、日本のトップ企業であるトヨタ自動車で問題が次々に起きている。それも最大の市場といわれるアメリカが舞台になっている。

  アクセルペダルの部品に不具合が見つかり、リコールすると発表したのがつい1週間前のことだった。それに続いて、対象になった8つの車種のアメリカでの販売を一時停止するというのである。

  トヨタは、ついこの間まで、アクセルペダルがフロアマットに引っかかって暴走する危険が指摘され、400万台のペダルを交換するというニュースがあったばかりだ。それに続いて、また品質を問われる問題が浮上した。どうしたのかと思う。

  車は人が乗るもので、何よりも安全性が大事だ。だから、自動車メーカーは品質管理には十二分に力を注いでいるはずだ。かつて、知人からある日本のメーカーの車は乗らない方がいいと忠告されたことがある。知人によると、品質管理がずさんで、そのメーカーに勤務しながら自社の車に乗らない親族がいるのだそうだ。

  10年前、三菱自工が問題を起こした。大量のリコール隠しタイヤ脱落事故などで信頼を失った。現在は失地回復の途上にあるが、三菱の車を見かけることはまだ少ない。一方、知人が危ないといったメーカーは、その後品質管理にも注意しているようで、リコールがあったとはあまり聞かない。

  私が初めて購入したのは、トヨタの車だった。以来、1度だけ日産車に乗ったことがあるが、現在も含めてトヨタ車を使っている。

  以前、愛知県豊田市トヨタ本社を訪れ、電気自動車に試乗したことがある。その際、本社の建物(その後近代的建物に変わったようだ)の質素さに、妙な感動を覚えた。建物よりも技術研究に資金を投入しているのだと思ったものだ。燃費抜群のプリウスが発売されたのは、それから数年後のことだった。

  かつて「技術の日産」「販売のトヨタ」といわれた時代があった。販売力が今日のトヨタの支えになっているのは間違いないが、「質の高い車」もトヨタの武器のはずだった。

 だが、アメリカでのリコール続きは品質管理に問題があったことを露呈してしまった。「質より量」路線を突っ走った結果なのだろうか。アメリカの自動車産業は、瀕死の状態にある。そうした状況下でトヨタに問題が続出するのは、なぜなのだろう。裏に何かがあるのだろうか。これを機会に、アメリカのトヨタバッシングが始まる可能性がある。