13 赤毛のアンは文化遺産
カナダの作家、L・Mモンゴメリの小説「赤毛のアン」をいまごろになって、読み返した。 孤児だったアンがプリンスエドワード島のマシュウとマリラきょうだいに引き取られ、成長していく物語で、おしゃべりアンの多感さが魅力的だ。 最近、暇を見て昔読んだ本を読み直している。
名作といわれる本は味わいが深く、あらためて感動するのである。赤毛のアンもそうだ。 主人公を取り巻く個性豊な人々、そして美しい自然の描写。全世界で5千万部が売れたのが理解できる。 その赤毛のアンのキャラクター商品がはんらんしている中で、知財高裁が「カナダの文化遺産だから、日本での商標登録はできない」との判決を出したそうだ。
当然だ。商魂たくましい人たちは、商売に利用できると思うと、何でも飛びつくのだ。節操なんて無に等しい。 そういえば、オードリー・ヘプバーンとグレゴリーペックの台詞を替えた「ローマの休日」の一場面が日本のある銀行のCMに使われた。
あんなCMを流す会社の感覚はおかしい。こうした会社には超一流企業なのに「社会貢献」というモットーはないのだろうか。文化財や文化遺産を守るのも社会貢献の一つなのに。