964 いつまで続くかよき伝統と風習 5月の陽光を浴びて
きょう5日はこどもの日であり、端午の節句だ。広辞苑をひくと「古来、邪気を払うため菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)を軒に挿し、粽(ちまき)や柏餅を食べる。菖蒲と尚武の音通もあって、近世以降は男子の節句とされ、甲冑・武者人形などを飾り、庭前に幟旗や鯉幟を立てて男子の成長を祝う。第二次大戦後は『こどもの日』として国民の祝日の一」とある。この日は菖蒲湯に入るのも日本の伝統だった。
「日本の伝統だった」と書いたのには理由がある。前項で記した習慣をこなした家族はどれぐらいあっただろうか。私の家族はこのうちの最後にある菖蒲湯に入っただけだ。本来なら柏餅を食べるのだが、買うのを忘れてしまった。幼い男の子がいる隣の家では、2階から小さな鯉幟を立てていた。
四季折々によき伝統がある。そうした伝統も時代とともに消えていくものもある。菖蒲湯に入らない家庭も多いかもしれないし、柏餅を食べなくても物足りなさを感じない人が増えているかもしれない。この日に粽を食べる家庭がどれほどあるのか見当がつかないが、こんな歌もある。童謡「背(せい)くらべ」である。
1、柱のきずは おととしの
五月五日の 背くらべ
粽(ちまき)たべたべ 兄さんが
計つてくれた 背のたけ
きのふくらべりゃ 何(なん)のこと
やつと羽織の 紐(ひも)のたけ
2、 柱に凭(もた)れりゃ すぐ見える
遠いお山も 背くらべ
雲の上まで 顔だして
てんでに背伸(せのび) してゐても
雪の帽子を ぬいでさへ
一はやつぱり 富士の山
ことしの連休は、天気のいい日は少なかった。そんな中、きょうは空の雲もほとんで姿を消し、新緑が青い空に映えた。被災地の人々は、どんな一日を送ったのだろう。子どもたちは柏餅を食べ、菖蒲湯に入っただろうか。
写真は、被災地から遊びに来てくれた知人夫妻の愛犬(トイプードル)とわが家のhana。