小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

835 節電時代のすだれとゴーヤ 実用的風物詩の話

急に暑くなったので、2階の部屋にすだれを取り付けた。最近ではホームセンターで、アルミサッシの外側にすだれを取り付ける金具が売っている。

植物のゴーヤとともに、すだれとよしずは猛暑を避ける手段として、原発事故で節電が叫ばれることしは特に人気があるようだ。金具は私が2つ買うと、売り切れになってしまった。

すだれは、いつごろから日本で使われているのだろうか。辞書によれば、奈良時代まで遡り、万葉集にも出てくる。一般的には竹を材料に使っているが、そのほかにもヨシ(蘆)、ガマ(蒲)、オギョウ(御形、春の七草のひとつ)、焼いた杉などもある。

例によって安い中国製がかなり出回っているようだ。窓に垂らすと暑い日差しを遮り、虫よけ、目隠しの効果があり、風も通すので値段の割には暑い日本の夏を飾る風物詩として、活用され続けているのだろう。

一方のゴーヤだが、このところ毎年、居間に面した庭に7、8本植えている。7月半ばごろから、ツルが大きく成長し、西日を遮ってくれて、エアコンの温度をいくらか低めに設定できる。緑のカーテンというらしい。

もちろん、実がなると、それを材料にしたいろんな料理ができるので、楽しみになる。ゴーヤのお浸しは、苦味が利いていてビールや日本酒のつまみにちょうどいい。ゴーヤチャンプルなら食べる我が家の女性軍は、生のゴーヤの独特の味に拒絶反応を示して手をつけない。こんなうまいものを食べないのは勿体ないと思うのだが、好き嫌いなのだから仕方がない。

節電のために、多くの国民はそれぞれの生活の知恵を働かせていると思われる。家電販売店では扇風機が飛ぶように売れているらしい。扇風機を使ってその分エアコンの温度を高めにしたり、エアコンは使わないで済まそうと考えている人もいるかもしれない。

以前、埼玉県で生活保護を受けていた高齢の女性が「エアコンを使用するなら保護を打ち切る」といわれて、エアコン利用を我慢して熱中症で亡くなったことがあった。あれから15年が過ぎたのに、東日本大震災で政治の貧困ぶりが際立って目立った。国民はすだれやゴーヤを自衛手段として利用しているが、国会でうごめく人たちはこうした風物詩とは縁が薄いに違いない。