小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

782 金があってもどうにもならないことがある 風前の灯のカダフィ氏

北アフリカチュニジアから始まった民主化運動は、エジプトに続いて、リビアにまで広がった。

40年以上も独裁政治を続け、海外に分散した資産が10数兆円ともいわれるリビアの最高権力者のカダフィ大佐の運命は風前の灯に近い。金があっても人間の運命はどうしようもないのが現実なのだ。引き際を誤った人間の姿は何とも虚しい。

かつて「砂漠の狂犬」とか「アラブの暴れん坊」と呼ばれたカダフィ氏は、ひと際目立つ「カリスマ性」を持っていたのだろう。それはチュニジアのベンアリ氏、エジプトのムバラク氏にも共通していた。

歴史は繰り返すというが、そうしたカリスマ性を持った指導者はいつかし独裁に陥る。世界各国でそうした人物が歴史に名を連ねた。その典型的人物として、ソ連スターリンナチスドイツのヒットラーが頭に浮かぶ。彼らは目的のためには手段を選ばず、多くの人命を奪った。

いま、追いつめられたカダフィ氏も、外国からの傭兵を使って、リビア国民に銃口を容赦なく向けさせている。それは、狂信的な言動を続けたヒットラーによく似ている。

最近のニュースの3つの柱は、ニュージーランドクライストチャーチ地震リビア情勢、予算をめぐる国会情勢だ。いずれもが明るい話題ではない。しかしこれが21世紀の世界と日本の現実なのである。だから「悲しくともつらくとも腹が立っても」目をそむけてはならないニュースなのだ。

2月がきょうで終わった。ひと月が28日しかない2月は、一年で一番短い季節だ。だが、朝の光の強さに、「光の春」を感じる。そうだ、3月になれば何かいいことがあるに違いない。そう、信じることにしよう。