小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

775 hanaの想像妊娠 未婚の8歳の犬が母乳

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人間の世界では「想像妊娠」という言葉がある。実際には妊娠していないのに、妊娠したのと同じような兆候が現れる現象だ。それが犬の場合にも発生することがあることを、わが家の飼い犬のゴールデンレトリーバーのhanaが証明した。

8歳半の老犬の範疇にはいりつつある犬でも、こうした現象が起きることに生命の不可思議さを感じた。

昨晩のことだ。娘がhanaの体をさわっているうち、乳の周辺の毛が黄色くなっていることに気付いた。犬には「乳腺腫病」という乳腺にしこりができる病気がある。心配になった私と妻はきょう雪の中を、いつもの「おじいちゃん先生」がやっている動物病院にhanaを連れて行った。

病院の待合室で、hanaは体を私にぴったり寄せながらガタガタと震えている。これは嫌いな診察台(高さ約1メートル)に乗せられることを怖がっているからだ。順番が回ってきて待合室から隣の診察室に入るのも一苦労だった。

座り込んで嫌がるのを抱きかかえるが、28キロ近い体重なのだからそう簡単ではない。ようやく診察室に入れ、彼女の嫌いな診察台に無理に抱きかかえて乗せ、診察を受けた。

触診の結果、乳腺腫病の疑いはほぼないという。最近の環境をおじいちゃん先生に話す。娘が子どもを産んで、退院後わが家で生活し、飼っていた犬(ミニュチュアダックスフンド)もやってきて、一緒に暮らしていることなどである。

話を聞いたおじいちゃん先生は「ホルモンのバランスが崩れ、母乳が出たのでしょう」と説明してくれた。これまでの生活環境の変化が母乳を出すという現象につながったのだろうか。

一緒にわが家に現れた2つの生命は、hanaにとっては子どもか妹(孫は女、犬は雌)のような存在であり、母性本能が目覚めたのかもしれない。それは想像妊娠と同じような現象で、専門的には「偽妊娠」というらしい。

子どもを産んで休養中の娘はhanaにとっては一番大事な人なので、ひょっとしたら娘の出産がhanaの体に影響を与えたのかもしれない。