小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

760 99歳の詩集に脱帽 「柴田トヨさんの「くじけないで」

画像 柴田トヨさんという99歳の女性の詩集がベストセラーになっている。暮れにもNHKで「99歳の詩人 心を救う言葉」というドキュメンタリー番組が放送された。奇しくも、聖路加国際病院理事長の現役医師・日野原重明さんも99歳で、2人はことしめでたく百歳になる。 一人は詩を書き続け、もう一人は病の人を救おうと忙しく働く。その姿は閉塞した社会で生きる多くの人に力を与えてくれる。 話題になっているのは「くじけないで」という柴田さんの処女詩集で、産経新聞の「朝の詩」欄に投稿した詩などをまとめたものだそうだ。2009年に自費出版したあと、飛鳥新社から昨年3月に再出版され、既に90万部が売れ、今月中に100万部を突破するというから大ヒットといっていい。90歳を越えてから本格的に詩を書き始め、現在も書き続けている。 題名にもなった「くじけないで」という詩  ≪ねえ不幸だなんて溜息をつかないで 陽射しやそよ風はえこひいきしない 夢は平等に見られるのよ 私 辛いことがあったけれど 生きていてよかった あなたもくじけずに≫ NHKは、柴田さんの詩に励まされ、逆境に立ち向かう人たちにも取材し「詩という言葉の力」のすごさを番組の中で紹介した。家に来て一緒に暮らしてほしいという息子の誘いを断り、一人暮らしを続ける柴田さんは、「返事」というおどけた詩も書いた。 ≪風が耳元で「もうそろそろあの世に行きましょう」なんて猫撫で声で誘うのよ だから私すぐ返事したの 「あと少しこっちに居るわ やり残したことがあるから」 風は困った顔をして す―っと帰って行った≫ 息子さんが詩を書いて、柴田さんに読んで聞かせると、「いいねえ」と褒めながら「少し長いね」と批評する場面が映像にあり、笑ってしまった。柴田さんの詩は140字以内と短いが、その中に瑞々しい感性と優しさ、周囲への思いやり、人生への思いが凝縮されている。 柴田さんはことし6月26日で100歳になる。一方、日野原さんは10月4日が誕生日だ。1911年(明治44年)生まれである。一世紀という長い時間を生きてきた2人の活躍ぶりには脱帽だが、後輩の私たちも負けてはいられない。
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