小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

731 幻の日本シリーズ第8戦 新聞のテレビ番組の不可思議

新聞には、配達地域によって「○版」という締め切り時間がある。頁左上にそれが書いてある。

私は東京都心に配達される「最終版地域」に住んでいない。それを象徴する出来事があった。多くの新聞が最終頁に掲載されるテレビ欄に、異変ともいえる番組放送が載ったのだ。昨日も書いたプロ野球日本シリーズの第8戦予告だった。

家族がそれを教えてくれた。なるほど、新聞の朝刊、テレビ東京の午後6時の番組はこう書いてあった。「プロ野球日本シリーズ~中日×ロッテ 野村克也 川崎憲次郎▽24年ぶりシリーズ第8戦!歴史的大一番 最後に笑うのは落合竜それとも西村ロッテ!?▽延長回無制限・白黒つくまでの最終決戦を試合開始から緊急放送▽ノムさんも緊急登板 両監督の采配対決を徹底解説」。この後で「前日優勝決定時」として、通常番組を案内してあった。

締め切りが迫った新聞社は焦ったのではないか。第7戦も延長に入り、ロッテが中日に勝ったのは午後11時をとうに過ぎていた。

テレビ欄はよほどのことがないと内容を変更しない。だが、ことしの日本シリーズは第6戦、7戦ともどちらが勝ってもおかしくないほど途中はもつれにもつれ、延長戦になった。そのために、こんな珍しい番組案内になってしまったのだろうか。

いまやテレビ、インターネットによって、ほぼリアルタイムでニュースは入ってくる。だが、新聞はこのような牧歌的なことをやっている。私にはそれが新聞であり、面白いと思うのだが、若い世代には歯がゆさがあるのかもしれない。

民放でこの日本シリーズを放送したのは、キー局ではフジテレビ、テレ朝、テレビ東京の3局のみだった。

一番プロ野球に縁が強かったはずの日本テレビ(巨人と深い関係がある)とTBS(横浜を持つ)は、ついに放送をしなかった。それでいて、両局とも元ハンカチ王子の斎藤君を結構手厚くフォローしているのだから、何をかいわんやである。