小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

732 秋深まる 落ち葉と霧と

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 数日前に「遅い秋 精彩ない遊歩道のけやき」という題のブログを書いた。この夏の酷暑が自然界に大きな影響を与えていることは疑いようがない。 しかし、よく観察してみると、深まる秋(暦のうえでは立冬が過ぎた)が実感できる。朝、犬の散歩の際にトチノキ並木がある遊歩道を通ると、大きな落ち葉が周囲に広がっていた。

 風情があるので、携帯電話のカメラを構えた。早朝しかも携帯のカメラなので写りは悪いが、深まる秋の雰囲気は分かるようだ。 ものの本によると、セイヨウトチノキのことをフランスでは「マロニエ」と呼び、パリの「マロニエの並木道」は歌にも出てくる。

 日本のトチノキとの違いは、葉がセイヨウの方が小さく、果実の表面にセイヨウはとげがあるそうだ。 9月下旬に訪問したクロアチアでもあちこちにこの木が街路樹として植えられているのを見かけ、ヨーロッパを代表する街路樹であることを再認識した。 さて、散歩コースのトチノキの並木近くの広場では、毎朝シニア世代の人たちが集まって、6時半からの放送に合わせてラジオ体操をやっている。その数は約20人で毎日決まった顔ぶれだ。

 夏休み期間には子どもたちも仲間入りしているが、いまはたまに1人、2人が飛び入りで参加する程度のようだ。かつて中国を旅行した際、朝の公園で太極拳をやる人の多さに驚いたことがある。ここでも太極拳をやる人も見かけるが、日本ではラジオ体操の人気は別格だ。 朝の散歩のコースには季節の変化を感じさせるもう一つの景色がある。

 それは大雨の際、下流への水量を調整するために造られた「調整池」だ。この周囲には一周約800メートルの遊歩道があり、調整池脇には小さな雑木林もある。 池自体は小さいが、四季折々変化があるので、周辺を散歩をする人も少なくない。

 いまごろの名物は「霧」である。つい先日の朝も調整池から霧が発生し、幻想的な世界が出現した。それがこの写真だ。しかし、人里離れた山の中ではない。(クリックすると拡大するので)霧の向こうにビルが見えると思う。 雑木林は、このところの冷え込みで赤い色が目につくようになってきた。日一日とその色は濃くなり、自分の吐く息が白くなるのもそう遠いことではないと想像する。画像