小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

656 どうした郵便 マイナスとマイナスはプラスになるのか

ゆうパック」の遅れが続いている。民営化された会社なのに、危機管理対策はなかったのだろう。私もゆうパックを利用して送った荷物が大幅に遅れて届くという「被害」に遭った。品物が生鮮食料品ではなかったので問題はなかったが、東京から千葉に送ってから4日目に届くという結果にさすがに驚いた。

日本郵便のホームページにこの問題が掲載されたのは、4日のことだ。遅配が始まったのは1日だから、何と4日目のことだ。小泉改革で民営化されたというものの「親方日の丸意識」は上層部から消えていなかったのではないかと思う。

日本郵便グループの郵便事業会社と宅配事業で赤字だった日通のペリカン便が統合して、7月1日から新しい宅配事業が始まった。しかし、取扱量が急増したのに現場がついていくことができずに、この会社は大混乱に陥った。鍋倉眞一という社長は旧郵政省OBの天下りだ。だからとは言わないが、緊急事態なのにこの組織はまともな対応ができなかった。

この会社の宅配便である物を送った私だが、4日目の夜、ようやくその品物が届いた。配達の人を激励するつもりで「大変だねえ」と言うと、彼はもう逃げ腰だった。「すみません、すみません」を連発する。「遅れるなら電話くらいしたらいいのに」と、私が言うと「私には分かりません」と、頭を下げながら彼は私の前から姿を消した。

郵便事業会社とペリカン便とも赤字会社だった。双方ともマイナス。数学ではマイナスとマイナスを掛けるとプラスになるのは常識だ。それを考えて、二つの会社は統合したのだろうか。そうだとは思えない。これでは互いの傷をなめあいながら、さらに傷口が大きくなってしまうのではないかと心配する。

このブログを書きながら、4日目にして荷物を届けてくれた人の後ろ姿を思い出した。その背中は丸くなっていた。方々で謝り続けた結果、疲れ果てた背中だったのだろう。