小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

573 オリオンへの願い

画像元日の夜。酔い冷ましを兼ねて、近くの郵便ポストに年賀状を出しに出かけた。身震いするくらいの寒さだ。空を見上げると、南東方向に月がまばゆいばかりに輝き、さらに南の方角には「三つ星」がくっきりと見える。オリオン座だ。冬の空の象徴だ。しかし、こんなにはっきりとこの星座を見ることはなかった。三つ星を守るように、四つの星が輝いている。線を引けば長方形になる。 「星に願いを」という歌があったが、このように美しい星を見ると、何かを願いたくなる。世界の平和や家族の健康だろうか。 けさは、いつものように早起きした。「風の道」近くの橋まで犬のhanaと散歩に行くと、おおぜいの人たちが初日の出を見ようと集まっていた。 hanaを座らせ、その仲間に入る。ほどなくして東の空が明るくなり、太陽が顔を出してきた。カメラを構える人が目に付く。ふだんなら日の出の時間を気にすることはない。しかし、この日ばかりは一年の区切りということで、初日の出にそれぞれの思いを託したのだ。 画像近くの寺に初もうでに行くと、例年とは異なる光景があって驚いた。寺の境内に向かう階段の途中から行列ができていたのだ。有名な寺ではない。例年は並ぶことなく、お参りができた。それが、何と1時間近く待つことになったのだ。駐車場も「満車」状態が続いている。 行列の中から「景気が悪いから、何とかしてほしいという思いで初もうでに来る人が多いのかなあ」という声が聞こえる。お参りの前に餅投げの行事があり、家族も含めて7個の餅をもらった。画像 さて、オリオン座はギリシャ神話では「乱暴者の漁師」であるという。「蛮勇」という言葉を思った。いまの時代、損得を考えずに突進する勇気を持つ人は、少なくなった。たまには、そんな気持ちで物事に臨むのも面白いのではないか。それが閉塞感を打破する力になるかもしれない。