小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

152 旭川に生きる 北の友人たち

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北海道は、いま札幌を中心とした一極集中が進んでいる。札幌が人口189万4000人に対し、第2の都市旭川は35万7000人しかいない。旭川は、札幌から特急で2時間弱の美しい街だ。夏は暑く、冬は寒い典型的な大陸的な気候のこの街に知人が住んでいる。 1人は教育者である。かつて、報道機関の政治部で特ダネ記者といわれた人が、なぜ教育者なのだろうか。彼はいま、旭川だけでなく、高校野球では実力校といわれる高校の理事長を務めている。既にこの職に就いて10年以上が経過した。 彼は、この高校理事長の3代目だ。高校を設立した初代理事長の父親から彼の兄にバトンが引き継がれた。そのままだったら、彼は記者生活を続けたに違いない。しかし、兄が急死し、3代目の椅子に座らなければならなくなったのである。 あるエピソードがある。彼の高校には訳ありの生徒もいる。修学旅行に行くお金を出せない子どももいるというのだ。ある年、彼は修学旅行に行けない生徒5、6人を引き連れて札幌にやってきた。もちろん交通費は彼のポケットマネーである。 札幌市内の名所を回り、生徒たちが希望したサッカー、コンサドーレ札幌の練習場にも行った。修学旅行に行けなくとも、理事長との一日は生徒たちには、決して忘れることができない思い出になったはずだ。彼は、こうした行動をたんたんと実行に移す。行動するのが苦ではないのは、記者時代と変わらないようだ。 さて、もう一人は、旭川郊外に住んで好きな動物写真を撮っている。いま、体調を壊してリハビリ中だが、再び北海道の自然にレンズを向ける日は近い。 8月初め、旭川に行く機会があった。札幌に比べ街を歩く人は少ない。街を歩く人は実にゆったりしている。それが旭川の魅力である。田舎暮らしを実践するには、旭川はたぶんに絶好の街だろう。(2007.8.12)