小径を行く

時代の移ろいを見つめた事柄をエッセイ風に書き続けております。現代社会について考えるきっかけになれば幸いです。筆者・石井克則(ブログ名・遊歩)

86 鈍感なのか大胆不敵なのか 飲酒運転撲滅はどこに

日曜の夜、家族で和食の創作料理の店に行った。テーブル席で食事をする。隣をみると、親子ずれらしい3人(30代後半らしい女性と小学生らしい2人の男の子)が食事をしている。女性はビールをおいしそうに飲んでいた。

父親は単身赴任か仕事か、あるいはゴルフでいないので、母子3人で食事にきたのだろうと思った。最近、このような光景を目にすることが多い。帰り際、女性は「おなかがいっぱい」とつぶやきながら、満足そうな表情で席を立った。

近所の家族ずれかと思っていた。テーブル席からは、駐車場が見渡せる。「あれは車に行くな」と私は言った。娘たちは「どうぞ行かないで」と祈るように言う。

その結果は私の方が当たっていた。店で領収書をもらった女性は、当然のごとく駐車場に向かい、何事もなかったように平然と車に乗り込み去って行ったのである。

その店の入り口には「車を運転する方にはアルコール類は出せません」という張り紙があった。女性は、そんな張り紙は目に入らなかったのだろうか。

それだけでなく、昨今の飲酒運転撲滅のキャンペーンを知らないとでもいうのだろか。新聞は読まないし、テレビのニュースは見ないのか。すぐ近くに警察署がある。そんなことは平気な感覚なのかもしれない。鈍感なのか大胆不敵なのか。楽しいはずの食事が後味の悪いものになってしまった。

3月に入って、急速に春めいてきた。コブシの花が満開になっているのを見かけた。ジンチョウゲは終わりに近付き、白モクレンももう開花した。桜の花も例年より2週間は早く開花するとの予報が出ている。

酒のおいしい季節が到来するのである。すると、あのような鈍感な日本人はまた、酒を飲んでハンドルを握ってしまうのか。前述の女性には「酒を飲んで運転する大人を見て子供がどう思うかを考えてほしい」と言いたかったが、間に合わなかったのが残念だ。